2021 Fiscal Year Annual Research Report
体積倍増条件を満たさない測度距離空間の確率論的解析
Project/Area Number |
21J20251
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大井 拓夢 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | Gauss場 / Dirichlet形式 / Markov性 / ガウス乗法カオス |
Outline of Annual Research Achievements |
体積倍増条件を満たさないランダムな測度であるリウヴィル測度や、その一般化にあたるガウス乗法カオスに関して研究した。
1.ガウス乗法カオスはガウス場を用いて構成されるため、その性質を調べるにあたり、ディリクレ形式を共分散に持つガウス場の性質について研究した。具体的には、既約なディリクレ形式が再帰的な場合に、ガウス場のマルコフ性とディリクレ形式の局所性が同値であることを示した。この同値性は、ディリクレ形式が過渡的な場合と、再帰的で絶対連続条件を満たす場合には既に知られていた事実である。また、このガウス場のマルコフ性と強マルコフ性が同値であることも示した。この結果を論文にまとめ、学術誌へ投稿し、査読を経て受理された。この結果を国内の研究集会やセミナーで発表し、結果を周知した。
2.ガウス場とガウス乗法カオスがそれぞれ収束している場合に、対応する確率過程をガウス乗法カオスで時間変更して得た確率過程の収束を研究した。特に確率過程がα-安定過程の場合の収束を考えた。この時間変更過程はリウヴィルブラウン運動(リウヴィル測度による時間変更ブラウン運動)のα-安定過程版にあたる確率過程である。収束に関しての完全な結果を得ることはできなかったが、その途中段階として、この時間変更α-安定過程をJ1位相を導入したスコロホッド空間値の確率変数として見たときの緊密性を示した。また、この途中結果をセミナーや研究集会で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
確率過程と測度がそれぞれ収束している場合に対応する時間変更過程が収束するか否かという一般論としての問題が、当初予測していたよりも遥かに複雑な問題であったことが理由に挙げられる。
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Strategy for Future Research Activity |
ガウス乗法カオスの具体的な性質や、スコロホッドのM1位相を用いて、α-安定過程と正値連続加法汎関数の組の有限次元分布収束を示すことで、対応する時間変更過程の収束を示す。
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