2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ1681
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
渋谷 将太郎 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 光酸化還元触媒 / コバルト触媒 / 一電子移動 / アルケン / ヒドロハロゲン化 |
Outline of Annual Research Achievements |
ハロゲン化アルキルは、医薬品や機能性材料の原料であるだけでなく、それ自体が医薬品や天然物の骨格に見られるため、合成化学において重要な化合物群の一つとして知られている。ハロゲン化アルキルの最も単純な合成法として、ハロゲン化水素を用いたアルケンのヒドロハロゲン化反応が挙げられるが、強酸性および強熱条件に起因した官能基許容性の低さが問題であった。そのような背景の元、本研究では、青色LED照射下、光酸化還元触媒とコバルト錯体触媒を組み合わせた協働触媒系を活用することにより、弱酸であるコリジンハロゲン化水素酸塩を用いた、アルケンのヒドロハロゲン化によるsp3炭素-ハロゲン原子結合形成反応を開発した。イリジウム光酸化還元触媒、コバルト錯体触媒、脂肪族アルケン、コリジンハロゲン化水素酸塩それぞれを、青色LED照射下反応させたところ、ハロゲン化アルキル生成物が高収率で得られた。本反応では、光触媒とコバルト触媒の協働触媒系によるコバルトヒドリド種の発生を起点とし、コバルトヒドリド種とアルケンの反応によるラジカルの発生、続くコバルト触媒によるラジカルのハロゲン化を経て進行する。コリジンハロゲン化水素酸塩のハロゲンイオンを変更することで、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を導入することが可能であった。本反応は高い官能基許容性を有し、メトキシメチル基、エステル基、シリルエーテル基、アミド基などの官能基も許容することができた。
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