2023 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionary processes and genetic mechanisms of host shifts in Orobanche boninsimae, a parasitic plant endemic to the Bonin (Ogasawara) Islands
Project/Area Number |
22KJ1687
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
西村 明洋 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 寄生植物 / ハマウツボ科 / 小笠原諸島 / 宿主転換 / 進化 / 集団遺伝学 / MIG-seq / 環境保全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は小笠原諸島固有の寄生植物シマウツボに着目し、種内および近縁種間における宿主転換の進化過程や遺伝的メカニズムを統合的に解明することを目的としている。 2023年度における現地調査は7月と3月に行われ、小笠原諸島父島、母島および当該年度にて新産地として論文を掲載した弟島にて調査を行った。父島においては新たな集団が観察されたため、最終年度以降の研究における集団遺伝学的解析のためにDNA・RNA試料を獲得して保存処置を行った。 シマウツボの進化研究を遂行するにあたり、姉妹種であるハマウツボを解析に含める必要があった。2021、2022年度で得られたデータをもとにハマウツボの葉緑体ゲノムおよび核ゲノム一塩基多型を用いた集団遺伝学的解析を行った。本解析については台湾のNational Chung Hsing Universityに所属する研究者と発表・議論を行い、小笠原諸島と同様に低緯度の島嶼である台湾に分布する寄生植物の集団遺伝構造の知見を得ることができた。 当該年度を含む研究期間全体の研究実績として、シマウツボにおける宿主転換の進化過程解明のための集団遺伝学的解析および分子遺伝学的解析を行った。DNA・RNA解析から葉緑体・核ゲノム一塩基多型の検出および発現遺伝子の同定を行い、特に2023年度では姉妹種ハマウツボおよび新産地である弟島を含めて集団遺伝構造を解析した。その結果、シマウツボの小笠原諸島における定着過程および宿主転換の歴史性が明らかになった。本解析から得られた結果は2024年3月10日、日本植物分類学会第23回大会において口頭発表を行い、また国際査付きジャーナルに投稿した。 本研究の成果のうち、シマウツボの生育状況といった小笠原諸島の自然保護に関連する事項については、2024年3月21日に小笠原ビジターセンターにて講演を行い、小笠原諸島現地住民の方々と情報を共有した。
|
Research Products
(3 results)