2022 Fiscal Year Annual Research Report
南アジアのイブン・アラビー学派によるイスラーム神秘主義の伝統継受と革新
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21J22082
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本間 流星 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 近代南アジア / イスラーム思想 / スーフィズム / 存在一性論 / イブン・アラビー学派 / イスラーム地域研究 / 南アジア地域研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究成果は、1)査読論文の投稿、2)国際ワークショップにおける研究発表、3)海外渡航、の3つに大別できる。 まず1)査読論文の投稿に関しては、学会誌『オリエント』(第65巻2号)に拙稿「近代南アジアにおけるイブン・アラビー哲学の伝承:アシュラフ・アリー・ターナヴィーの存在顕現の形而上学」を投稿し、2023年3月に掲載・出版された。本稿は、「最大の師」と称されるイブン・アラビー(1240年没)の思想的影響力の解明、すなわち「イブン・アラビー学派」研究の一環として執筆したものであり、とりわけ近代南アジアの思想家アシュラフ・アリー・ターナヴィー(1943年没)のウルドゥー語著作の分析を通じて、彼がイブン・アラビーの存在顕現論をどのように理解したのかを論じた。 2)国際ワークショップにおける研究発表に関しては、京都大学イスラーム地域研究センター(KIAS)・上智大学イスラーム地域研究センター(SIAS)・フランス国立科学研究所(CNRS)の共同で開催されたジョイントセミナーにおいて、"Ashraf 'Ali Thanavi's Metaphysics of Theophany: A Study of Tajalli and its Related Concepts"というタイトルで発表し、そこでスーフィズム研究の権威であるアレクサンドル・パパス教授から有益な助言を得ることができた。 3)海外渡航に関しては、トルコのウスキュダル大学で開催されたThe 4th International Intensive Summer School of Sufi Studiesに参加し、世界的なスーフィズム研究者らの講義を7日間にわたって受講したほか、イスタンブルのスレイマニエ図書館やイスラーム研究センター図書館を訪問し、文献調査を実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度まで行っていたターナヴィーのウルドゥー語著作群の分析に加え、本年度は彼の同時代人であるメフル・アリー・シャー(1937年没)のペルシア語著作『真理者の言葉における真理の確証』の分析にも、当初の計画通り着手することができ、両者の比較分析を行える段階にまで達しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画を大幅に逸脱することなく、順調に進んでいるため、最終年度である2023年度は、これまでの研究成果を総合した上で、博士論文の提出を実現させたい。
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