2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ1697
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
樋沢 規宏 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 集団座標 / 核分裂 / 密度汎関数理論 / 深層学習 / 潜在変数 / diffusion model |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に深層学習を用いた経験的手法によらない集団座標の抽出を行なった。 核分裂の量子力学に基づく記述では、過去ほぼ全ての研究において、多重極モーメントのような仮定された集団座標が用いられてきた。しかしこのような集団座標はダイナミクスに基づき導出されたものではないため、核分裂を記述できる保証はない。そこで本研究では、深層学習における多様体仮説と集団運動の類似性に着目することで、集団座標を抽出する新しい手法を提案した。まず系の厳密な断熱ダイナミクスを記述できる密度汎関数理論を用い、236Uの基底状態近傍のデータをランダムに生成した。次にこのデータをautoencoderと教師あり学習を組み合わせたmulti-task learningにより解析することで、潜在変数の抽出を行なった。得られた潜在変数はわずか2次元であっても系の密度やエネルギーを精度よく復元できる一方、伝統的な多重極モーメントは系の情報をほとんど持たないことが明らかになった。これは世界で初めて、経験的に選ばれた集団座標の問題を、密度汎関数理論に基づき定量的に示した研究である。また本年度は以上の研究に加え、画像生成において多大な成功を収めたdiffusion modelを応用し、密度汎関数理論をよりフレキシブルに制御する手法の提案、及び実証も行なった。 昨年度までの研究で、仮定された集団座標に対し、それに付随する集団運動の励起状態の記述において、共役運動量が重要な役割を果たすことが示された一方、今年度新たに仮定された集団座標そのものの問題が明らかになった。したがって今後は、深層学習と共役運動量の融合による、非経験的な集団運動の記述が期待される。
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Research Products
(5 results)