2022 Fiscal Year Annual Research Report
観測と理論による降着円盤不安定性モデルの拡張 ---矮新星大統一理論を目指して
Project/Area Number |
21J22351
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
反保 雄介 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 観測天文学 / 突発天体 / 激変星 / 降着円盤 / 矮新星アウトバースト |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は,「観測と理論による降着円盤不安定性モデルの拡張 ---矮新星大統一理論を目指して」をテーマとする研究課題の2年目である。本年度は1本の主著論文が査読あり国際誌から出版され,また,1件の国際学会招待講演を含む計8件の学会発表を行った。 主著論文では,京都大学岡山天文台3.8メートルせいめい望遠鏡に新たに導入されたTriColor CMOS Camera and Spectrograph (TriCCS) や我々の研究グループが主導する国際的な観測ネットワークであるVSNETを通じた測光観測を用いた,特異な矮新星アウトバースト(PNV J00444033+4113068)の観測論文である。解析と議論の結果,この天体の特異性は同種の天体と普遍的な特徴を持ちながらも,その大きな軌道傾斜角によるものであることを明らかにした。 また,,European Southern Observatory(チリ)で開催された"50 Years Superhumps in Cataclysmic Variables and Elsewhere"に招待講演者として参加し,我々の研究グループが進める矮新星アウトバーストの研究結果についてその概観と成果を紹介した。 加えて,せいめい望遠鏡での観測提案もPIとして2期で計5件が受理され,これらの観測データの解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
論文数や学会での発表回数は,当該年度当初に予定していた程度であるため,(2)おおむね順調に進展している,とした。また,次年度の研究遂行に向けた観測提案の実施や,日本学術振興会海外若手挑戦プログラムとして採用された矮新星アウトバーストに伴う円盤風の数値計算研究の下準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
①現在,矮新星アウトバーストに関する観測論文を主著として2編準備中であるから,これらを完成させ査読あり国際誌に発表する。また,過去に特異なアウトバーストを起こした天体が再度アウトバーストを起こした場合や,新たに特異な性質を持つアウトバーストが発見された場合についても,VSNET,せいめい望遠鏡,OISTERを活用した観測を呼びかけ ToO 観測を発動し,同様に長期間の詳細な観測を行う。これらの天体についても,随時解析を行い,論文として出版する。 ②2023年度は矮新星アウトバーストに伴う円盤風の数値計算研究が日本学術振興会海外若手挑戦プログラムとして採用されており,英国にて研究を遂行する予定としている。この研究結果についても,査読あり国際誌に発表する予定である。
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