2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of real-time detectors with individual sensitivity for thermal, epithermal, and fast neutron in BNCT
Project/Area Number |
22KJ1705
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松林 錦 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | ホウ素中性子捕捉療法 / 中性子 / γ線 / シンチレータ / 電離箱 / 放射線計測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中性子とγ線の混合場であるホウ素中性子捕捉療法(Boron Neutron Capture Therapy: BNCT)の照射場に適したリアルタイム線量評価のため、シンチレータ結晶を用いた熱中性子検出器の開発及び照射試験、高速中性子用ガス検出器の製作を行った。 熱中性子検出器については、熱中性子に高感度であり応答時間が短い結晶を2種類育成し、育成した結晶は潮解性を有するため外気に接しないようガラスの治具や硬化樹脂によりパッケージを行った。検出器では0.6mm直径の光ファイバーに微小な結晶を設置する必要があるため、最適な硬化樹脂や反射材を選定し、複数回のパッケージ試験を行った。構築した検出器はBNCT照射場において照射試験を実施し、熱中性子束と計数率の比例関係を確認した。またγ線照射場において照射試験を行い、構築した検出器が正しくγ線を除去できることを確認した。しかしパッケージ手法によっては、光の減衰が大きく正しく計数が得られない場合があり、最適なパッケージ手法について今後検討する。また高速中性子用ガス検出器は、シミュレーションにより最適化した構造を製作し、正しく電圧印加できることを確認したが、ガス封入試験においてガス圧の減衰が見られた。そのため、ガス圧の減衰を考慮した特性試験、あるいはガス圧を長時間維持できる構造を再検討する必要があることが分かった。 高い強度で中性子とγ線が混合するBNCT照射場において、γ線の寄与を除去し高い中性子感度を有するリアルタイム検出器の開発は、検出器の材質、大きさの選定において探究的な要素が強い。BNCTのさらなる発展のためには標準測定手法の確立が求められ、本年度で実施した研究は、それに貢献する研究である。また中性子の放射線計測の分野においても意義のある研究であり、他の分野への波及効果も期待される。
|