2021 Fiscal Year Annual Research Report
環状逆配向性PIP-DNA複合体のX線結晶構造解析
Project/Area Number |
21J22721
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安倍 克彦 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
Keywords | DNA / X線結晶構造解析 / PIP / CAGリピート配列 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度においては、DNAのCAGリピート配列に特異的に結合するピロールイミダゾールポリアミド(PIP)とDNA鎖の複合体についてのX線結晶構造解析の研究を進めた。異常伸長したCAGリピート配列はトリプレット病の原因となることから関連研究が盛んに行われている。今回用いたPIPはこの配列に特異的に結合し、たんぱく質形成の阻害などを行える可能性があることから注目されている。しかし、未だに原子レベルでの結合様式の解析・理解が進んでいないことから、PIPのDNAへの非特異的な結合も生じてしまっている。これら理解を深め、新しい様式のPIPや振興分子の開発へと繋げるためにCAGリピート配列を含むDNA鎖とPIPの複合体の構造解析を進めてきた。現段階では、結晶化条件の最適化を行い、得られた結晶より、2.8 Å程度の分解能のデータを得ることに成功している。 また、DNAオリガミ構造体を用いたCas-9の活性制御についての研究について成果をまとめたうえで査読付きの国際雑誌に投稿し、掲載が決定された(Chem. Commun., 57, pp. 5594-5596, 2021)。加えて、その成果について国際学会であるISNAC2021にてポスター発表を行った。 更に昨年度は、シリカナノ粒子をベースとしたプローブ作成についての研究を開始し、スイスのOA research instituteとの共同研究を行っている。またこのテーマについてJSPS主催の"YOUNG RESEARCHERS’ EXCHANGE PROGRAM BETWEEN JAPAN AND SWITZERLAND 2021"に応募し、採択された。 このように幅広い分野の研究を行い、国際的な関係も構築されている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目標としていたDNA-PIP複合体の結晶形成条件のおおよその最適化を完了させることに成功したこと、及びその結晶を用いて解析可能な実験データを得ることに成功したため上記のような評価とした。また、様々な研究テーマについて実験を同時進行で進め、シリカナノ粒子を用いたプローブについてはその合成が完了し、細胞を用いた実験を予定している。このように幅広い研究を着実に進めることに成功している。
|
Strategy for Future Research Activity |
現段階においては、CAGリピート配列を含むDNA鎖とPIPの複合体の結晶化の最適化がほぼ終了し、得られた結晶より2.8 Å程度の分解能を有するデータを得ることに成功している。このデータから電子密度マップは得られているものの、比較的不明瞭であることから、それ以降の解析が進んでいない。従って、本年度についてはさらなる結晶化条件の最適化を行うとともに、現在SAD法を用いて行っている位相決定についてより確実なMAD法などの手法用いて行えるように調整をしているところである。本年度も5~10回程度のビームタイムをSPring-8にて計画しており、得られた結晶を随時X線照射実験へと用いる予定である。また構造決定が済み次第論文としてまとめ投稿する。その他のCTGリピート配列に対するPIPの結合様式等についても結晶形成を行い、X線結晶構造解析を行っていく予定である。 シリカナノ粒子を用いたプローブの開発については、スイスのAO research instituteへの渡航(留学)を行うために、JSPSのプログラムなどに応募している。Zoom等を用いた会議を積極的に行うとともに、現在は所属する研究室内で得られる範囲の細胞へとプローブを導入し、プローブの効率を確認していく予定である。
|