2023 Fiscal Year Annual Research Report
オーム性接触形成メカニズム解明に向けた金属/炭化珪素界面に関する基礎研究
Project/Area Number |
22KJ1709
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
原 征大 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | SiC / パワーデバイス / オーム性接触 / ショットキー障壁ダイオード |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者のこれまでの研究により、金属/高濃度ドープSiC界面におけるトンネル現象(直接トンネル(DT)およびトラップアシストトンネル(TAT))に関する深い物理的理解が得られた。これを足がかりに、SiC上非合金化オーミック接合の設計指針を提示するために、ドーピング密度を系統的に変化させた高濃度Pイオン注入SiC上に非加熱プロセスによりTiおよびMg電極を形成し、円形伝送線路モデル(CTLM)構造を用いた実験的評価とDT電流の数値計算に基づく解析を通じて、接触抵抗率を詳細に調べた。 その結果、10^(19) cm^(-3)台中盤以下のドーピング密度範囲においては、接触抵抗率の測定値がDT電流に基づく計算値と比較して数桁低いことを明らかにし、これがTATの支配的な寄与により定性的に説明できることを示唆した。一方、10^(20) cm^(-3)を超える非常に高濃度の注入を行った場合、接触抵抗率の実験値はDT電流からの予測とよく一致し、ドーピング密度の増加に伴い急激に減少した。特に、2×10^(20) cm^(-3)という高濃度注入により、MgおよびTi電極において、熱処理を施すことなく1-2×10^(-7) Ωcm^2という極めて低い接触抵抗率を達成した。DTおよびTATの寄与を考慮した、Pイオン注入SiC上非合金化オーミック接合における接触抵抗率予測モデルを提案し、本モデルに基づいて、オーミック接触低抵抗化のための、障壁高さおよびドーピング密度に関する定量的な設計指針を提示した。 本研究を通じて得られたデータ、接触抵抗率予測モデル、および低抵抗オーミック接合形成のための定量的な設計指針は、SiCに対するオーミック接合形成メカニズムの解明のために不可欠な学術的知見であるのみならず、低抵抗化に向けた新規形成プロセス開拓に向けた立脚点を与える有用な結果である。
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