2022 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア熱帯域における半地中性両生類の種多様性形成メカニズムの解明
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21J22931
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福山 伊吹 京都大学, 人間・環境学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 系統解析 / 形質置換 / 祖先形質復元 / 分岐年代推定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は東南アジアに広く分布するチョボグチガエル属の種多様化・共存機構を明らかにすることで、熱帯域における両生類の種多様性形成メカニズムの解明を目的とする。まず、1)ボルネオ島で共存する本属の3系統について、体サイズと鳴き声の各形質の変異に着目し、系統間の繁殖的形質置換の有無を検証する。次に、2)属全体の系統推定を行い、上記の形質の祖先形質復元により、いつどのように共存に重要な形質を獲得し多様化したのかを明らかにし、3)主要な系統について、現在および過去の各系統の生息適地、個体群の拡大縮小の変遷、分散の経路や順序 、分岐年代を推定することで、現在の分布パターン形成に至った経緯を明らかにする。 本年度は上記の(1)および(2)に取り組んだ。(1)について、新型コロナウイルスの影響で解析を行うのに十分な音声データが得られなかったため、すでに手元にある標本を用いて体サイズの種間比較のみを行った。(2)について、ミトゲノム決定と系統解析、分岐年代推定、体サイズの祖先形質復元を行った。これらの結果から、チョボグチガエル属は中新世に大きく多様化し、各地に分散したこと、複数種が同所的に生息するボルネオ島では中型の祖先からの大型化、小型化が平行的に生じていることが明らかになった。これらの結果を現在投稿論文として準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響で海外調査を十分に行えておらず、一部の解析を行うのに十分なデータが得られていないため。
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Strategy for Future Research Activity |
不足しているデータについては、文献情報から得たデータを用いるなどして、解析を進める。
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