2021 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the rhizosphere microbiota assemblage process in soybean with focus on metabolite-metabolite interactions
Project/Area Number |
21J23155
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
松田 陽菜子 京都大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | ダイズ / 根圏 / イソフラボン / β-グルコシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
根圏とは「植物根から影響を受ける土壌領域」のことであり、根圏に生息する微生物は、植物の養分吸収促進、ストレス耐性向上などに寄与することが知られている。植物は根圏に代謝物を分泌することで、根圏に生存に好ましい微生物叢を形成すると考えられている。本研究では、ダイズ根から分泌されるイソフラボンによるダイズ根圏微生物叢形成プロセスを明らかにすることを目的とした。そして、植物代謝物による根圏微生物叢形成プロセスを「①植物根からの分泌」「②土壌中の動態」「③微生物叢への影響」の3つの段階に分けて考えることとした。 本年度は、根アポプラストに局在するβ-グルコシダーゼが、根アポプラストおよび根圏土壌におけるイソフラボン蓄積に関与しており、ダイズ根からのイソフラボン分泌を促進することを、変異体を用いた実験により示した。また同実験結果から、イソフラボン配糖体とアグリコンの物性の違いにより、根アポプラストから根圏への移動性が異なる可能性が示唆された。β-グルコシダーゼの変異体における根アポプラストと根圏土壌中のイソフラボンプロファイルの変化が認められた一方で、その変異体の根と根圏土壌の細菌叢については、野生型の細菌叢の相対存在量との違いは認められなかった。イソフラボン分泌に関与するβ-グルコシダーゼの成果は、植物根から分泌される多くの特化代謝産物にも適用できる可能性があり、重要と考えられた。以上の研究結果は原著論文にまとめ、国際誌に投稿した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的はダイズ根から分泌されるイソフラボンによるダイズ根圏微生物叢形成プロセスを明らかにすることであり。本年度はそのプロセスの中で、特に「①植物根からの分泌」「②土壌中の動態」の段階に関して進捗が得られた。ダイズ根アポプラストに局在するβ-グルコシダーゼが根圏のイソフラボン蓄積に関与することを明らかにしたことに加えて、イソフラボン配糖体とアグリコンでは根アポプラストから根圏への動態が異なる可能性をダイズの植物体を用いた実験で示した。
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Strategy for Future Research Activity |
イソフラボン分泌に関与する輸送体の遺伝子候補の絞り込みを終えているため、昨年度に引き続き生化学的な機能解析を行う予定である。現時点で、コンストラクトの作製と異種発現ホストの形質転換を終えており、現在形質転換体を用いた機能解析に着手している。イソフラボンに加えて、ダイズ根から分泌される他の代謝物の分泌メカニズム、土壌中の動態、微生物への影響も評価する。
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[Presentation] Analysis of a β-glucosidase involved in the regulation of isoflavone amounts in soybean root apoplast and rhizosphere2022
Author(s)
Hinako Matsuda, Yumi Yamazaki, Eiko Moriyoshi, Masaru Nakayasu, Shinichi Yamazaki, Yuichi Aoki, Hisabumi Takase, Shin Okazaki, Akito Kaga, Kazufumi Yazaki, Akifumi Sugiyama
Organizer
第63回日本植物生理学会年会
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