2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ1737
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大島 國弘 京都大学, 情報学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 有機薄膜トランジスタ / フレキシブル回路 / スパイキング・ニューラル・ネットワーク / 物理複製困難関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
有機薄膜トランジスタ(OTFT)は低温プロセスによりトランジスタを作製可能であり,紙やプラスチックフィルムのような柔軟な基板上に回路を形成することができる.このため,フレキシブルセンサシステムへの応用が期待されている.昨年度までの研究ではOTFT特性の安定化に集中的に取り組み,OTFTレイアウトの工夫によりOTFT材料の層間接触を制限することで安定したオン・オフ電流比が得られることを確認した. この結果を受けて今年度は,OTFTを用いたフレキシブルセンサシステムに応用可能な機能回路に関する検討を進め,スパイキング・ニューラル・ネットワーク(SNN)プロセッサと製造時のみ複製可能な物理複製困難関数回路(PUF)の提案を行った.SNNプロセッサはデータの分類タスクをOTFTにより可能とする機械学習回路であり,センサから得られた信号の処理を行える.また,PUFはトランジスタの物理ばらつきを利用したチップ認証用の機能回路であり,生体センサとしてセンシティブな個人情報を扱う回路が偽装チップでないことを保証するものである. SNNの推論精度評価では,回路シミュレーションによるMNISTデータセットの"0"と"1"の画像の分類において,97%の推論制度が得られることを確認した.PUFの動作に関しては,実際に回路要素の試作・測定を行った.この評価により,書き込み・読み出しの動作を1bitの回路で確認し,提案PUFが半年間の安定した動作が可能であることを明らかにした.OTFTを用いたSNNプロセッサの提案は本研究が初であり,OTFTを用いたPUF回路の動作はこれまで1ヶ月程度の期間までしか確認されておらず,提案PUFは先行研究と比較してより信頼性の高い認証機能を提供し得ると考える.
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