2022 Fiscal Year Annual Research Report
連れションにみる行動伝染と社会ネットワーク:大型類人猿の比較研究
Project/Area Number |
21J23227
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大西 絵奈 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | チンパンジー / 行動伝染 / 排尿 / 集団行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
飼育チンパンジーを対象とした2019、2020、2021年に行った観察をもとに、排尿同期率を観測値とシミュレーションをもとに算出した期待値を比較し、飼育チンパンジーの排尿が同期していることを確認した。また社会的要因の影響も分析し、これらの結果は2022年7月に開催されたInternational Society for Behavioral Ecology Congress 2022で発表し、また論文にまとめ、投稿予定である。 初年度の研究計画ではチンパンジーのみならずその他の大型類人猿を対象に種間比較を予定していたが、新型コロナウイルス感染症の影響により国外フィールドの調査が停滞していた。したがって、2022年8月にドイツのボノボ飼育施設6ヶ所の視察を行った。現地にて研究者と交流し、飼育に関する情報交換や視認性の確認を行った。その結果、ドイツの飼育施設は日本の飼育施設よりも一般的に飼育エリアが広く、また視覚も多いことから、ボノボを対象とした排尿の観察は困難であるとわかった。 2022年10月~11月には、京都大学熊本サンクチュアリにてチンパンジーの尿の採集をおこなった。今後同施設で尿を使用した実験を計画しており、その準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルスの影響による調査地の受け入れ態勢の制限により観察が大幅に遅れてしまっていたが、ようやく必要なデータを収集し終わり、現在論文を執筆中である。また今後の実験に関してはコロナウイルスの影響による制限等は最小限に抑えられることが見込まれる。従って、当初の予定であった大型類人猿の比較は日本国内では難しいために本研究課題では行うことが難しいが、これまでの調査地で更なる研究の発展が望ましい。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに行ってきた飼育チンパンジーの排尿観察による同期の研究に関しては論文執筆を行なっており、近々投稿予定である。また、これに加えて、これまでの観察から得た排尿に関するデータと他研究者によって提供が期待される収集済データを合わせることで、24時間規模でのチンパンジーの排尿に関する基礎的な研究を計画している。これは今年度を目処に論文として投稿、また学会発表を行いたい。今後は同施設でチンパンジーの尿をつかった行動実験を予定しており、その為の採尿、実験計画を進めている。季節や実験環境を考慮し、今年度後半を目処に実験を行う予定である。
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