2022 Fiscal Year Annual Research Report
Distinct ethnic, clinical, and genetic characteristics of der(1;7) in myelodysplastic syndromes
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21J23598
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
奥田 瑠璃花 京都大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 骨髄異形成症候群 / der(1;7)(q10;p10) / 不均衡転座 / MDS |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究で着目したder(1;7)(q10;p10)は骨髄異形成症候群(MDS: myelodysplastic syndromes)で高頻度に観察される派生性染色体である。この派生性染色体の遺伝学的特徴と病態的特徴を見出すため、3,396例のMDSおよび関連疾患患者のサンプル及び臨床情報の収集を行い、骨髄サンプルと可能なサンプルでは正常サンプルからのDNA抽出を行い、次世代シーケンサーを用いた解析を行った。内148症例がder(1;7)(q10;p10)を有する疾患患者であり、その他の症例を-7/del(7q), +1qとその他の3群に分け、比較を行った。臨床的特徴の比較では、血小板がder(1;7)(q10;p10)群では他より高い傾向が認められた。生存解析では、der(1;7)(q10;p10)群は-7/del(7q)群より予後良好ではあったものの、+1q群とその他の群よりは予後不良であることが明らかになった。 遺伝学的特徴を明らかにするため、der(1;7)(q10;p10)陽性例のWhole-exome sequencingを行った結果、高頻度で認められた変異はRUNX1, ETNK1やEZH2などの遺伝子であった。これらの遺伝子と、血液疾患で高頻度に変異が起こると報告されている遺伝子をベイトとして、Targeted-capture sequencingを行った。その結果、der(1;7)(q10;p10)群の遺伝子変異プロファイルは-7/del(7q)群や+1q群と比較しても異なることが示された。SNPのデータを応用し、Targeted-capture sequencingでコピー数変化の同定も行ったところ、der(1;7)(q10;p10)群で+8やdel(20q)が高頻度で合併することが明らかになった。 以上の研究成果を国内外の学会で発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MDSや関連疾患では1.5~6%の頻度で発生するとされているder(1;7)(q10;p10)陽性症例を148症例収集し、これらの症例のDNAサンプル及び臨床情報の収集を進めることができた。さらに、コントロール群として起用された3,248症例に関しても、同様にDNAと臨床情報の収集を確実に行った。これによって、der(1;7)(q10;p10)陽性症例の特徴を過去最大の大規模コホートで明らかにすることが可能となった。 本研究では合計3,396症例と非常に大規模なコホートの遺伝子変異解析を行う必要があり、膨大な計算を要する。der(1;7)(q10;p10)陽性症例の特徴を明らかにするため、現在もスーパーコンピューターを用いた情報解析を進めているが、上述したようにder(1;7)(q10;p10)陽性症例に特徴的な遺伝子変異を同定するなど、一定の興味深い成果が得られつつある。 以上より、大規模コホートでのder(1;7)(q10;p10)の特徴を明確に見出すことができており、おおむね順調に進んでいると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
コホートのサンプル収集と臨床情報の収集が終了して、Whole-exome sequencingとTargeted-capture sequencingも行うことができているため、本年度は引き続きこれらのデータをスーパーコンピューターにて解析を行う。すでに昨年度の目標としていた-7/del(7q), 1qとその他の群分けは完了しており、主要な解析結果を出すことができている。 本年度は引き続きこの4郡での解析を進めていき、der(1;7)(q10;p10)陽性症例の特徴をより一層明らかにするとともに、コピー数が似ている-7/del(7q)群や+1q群とも比較を行う。また、der(1;7)(q10;p10)陽性の同一症例を時系列に沿って複数サンプル解析することで、der(1;7)(q10;p10)のクローン構造の詳細を明らかにする。こうした解析を通じ、der(1;7)(q10;p10)陽性症例が臨床的、遺伝学的に独立した疾患概念であることを明らかにできることが期待される。 解析が終わり次第、論文投稿に向けた準備を行う予定である。
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[Journal Article] Germ line <i>DDX41</i> mutations define a unique subtype of myeloid neoplasms2023
Author(s)
Makishima H, Saiki R, Nannya Y, Korotev S, Gurnari C, Takeda J, Momozawa Y, Best S, Krishnamurthy P, Yoshizato T, Atsuta Y, Shiozawa Y, Iijima-Yamashita Y, Yoshida K, Shiraishi Y, Nagata Y, Kakiuchi N, Onizuka M, Chiba K, Tanaka H, Kon A, Ochi Y, Nakagawa MM, Okuda R. et al.
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Journal Title
Blood
Volume: 141
Pages: 534~549
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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