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2022 Fiscal Year Annual Research Report

in vitro再構成と光遺伝学の融合による細胞運動の普遍原理の解明

Research Project

Project/Area Number 22J00094
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

山本 啓  京都大学, 理学研究科, 特別研究員(PD)

Project Period (FY) 2022-04-22 – 2025-03-31
Keywords光遺伝学 / アクチン / 人工細胞 / 細胞遊走
Outline of Annual Research Achievements

近年、生体組織において、細胞-基質間接着に依存しない、すなわちこれまで培養ディッシュ上で観察されてきた遊走とは異なるメカニズムで駆動される「アメーバ様遊走」が着目されている。アメーバ様遊走は細胞種・生物種を問わず報告が相次ぐ一方、その運動の仕組みは不明な点が多い。本研究では、局所的かつ可逆的に細胞機能を操作することができる光遺伝学の技術、およびアクチン細胞骨格を内包したリポソームや油中水滴の系を組み合わせることで、光によりアメーバ様遊走を誘起し、その駆動原理を解明することを目的とする。
初年度はまず、予備実験において生細胞中で青色光依存的にアクチン重合を誘導可能と分かっている光遺伝学ツールをタンパク精製した。さらに、精製した光遺伝学タンパク質を油中水滴中に封入し、青色光依存的に脂質膜へ局在化させるための条件検討に取り組んだ。脂質膜の組成や、青色光の照射方法、リボフラビンの添加濃度等の検討により、高効率な膜移行を可能とした点で、一定の進捗があったものと考える。一方で、光依存的なアクチン重合の誘導には未だ成功しておらず、今後のさらなる条件検討が必要である。
また、生細胞においては、光遺伝学ツールの発現のみで細胞のアクチン重合活性を高めてしまうといった予備データも得られている。そこで、光遺伝学ツールの改良にも取り組むため、所属研究室において哺乳類およびアフリカツメガエル由来の培養細胞の維持管理にかかる設備をセットアップした。既に検討のためのプラスミドは作製済みであり、次年度以降、順次細胞へ導入し、光遺伝学ツールの改良を進めていく予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究では、青色光依存的に結合することが知られているiLID-SspBと呼ばれる2種類のタンパク質をベースに、油中水滴への封入や、光遺伝学ツールの開発に取り組んでいる。油中水滴に導入する光遺伝学ツールについては、大腸菌から十分量を精製することができ、今後の条件検討を進めるための土台を作ることができた。さらに、精製した光遺伝学タンパク質を油中水滴中に封入し、iLIDタンパク質を脂質膜に局在化させた状態で青色光照射することにより、生細胞と同様にSspBタンパク質を脂質膜へ局在変化させることにも成功している。また、今後は光遺伝学ツールとアクチン細胞骨格を同時に封入することを目指すが、必要となるタンパク質は一通り精製が完了しており、先行研究を参考にして適切な混合濃度や比率について検討を進めている。
また、これまでに開発してきた光遺伝学ツールは、発現のみで細胞のアクチン重合活性を高めてしまうことも分かっているため、今後の応用を見据えてツールの改良にも取り組んでいる。そのために、iLID-SspBに加え、単体で青色光依存的に細胞膜へ局在化することが可能なBcLOV4の系の導入も試みている。BcLOV4の膜局在化には温度依存性があることが知られているため、本年度は哺乳類培養細胞に加え、培養温度が低いアフリカツメガエル由来の培養細胞の飼育環境についてもセットアップした。
以上の点に鑑みて、本研究は概ね順調に進展していると評価した。

Strategy for Future Research Activity

これまでの研究により、油中水滴の系においてiLID-SspBの系が動作することは確認できており、次の段階として光照射によるアクチン重合の誘導を目指す。これまでの実験によって、光遺伝学ツールとアクチン細胞骨格を同時に油中水滴へ封入した場合、アクチンが凝集体を形成してしまうことが確認されており、今後の改善が必要である。混合するアクチンや光遺伝学ツールの濃度、光遺伝学ツールで使用しているArp2/3結合ドメインの長さや由来するタンパク質、iLID-脂質膜間の結合方法、光照射の方法、などを検討していく予定である。混合するアクチンや光遺伝学ツールの濃度については、従来よりも高濃度で封入し油中水滴中に余剰なアクチンを残すことで、光照射による重合が可能になると期待している。iLID-脂質膜間における結合については、現在はHisタグを採用しているが、ビオチン-ストレプトアビジンによる結合に切り替えることでより強固なものとし、光照射後のタンパク質複合体が脂質膜から解離することを抑制できる可能性がある。

  • Research Products

    (6 results)

All 2023 2022 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (4 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results) Remarks (1 results)

  • [Journal Article] ミオシンの光操作で明らかになった細胞質分裂における両極アクトミオシンの寄与2022

    • Author(s)
      山本 啓, 近藤 洋平
    • Journal Title

      生物物理

      Volume: 62 Pages: 285-287

    • DOI

      10.2142/biophys.62.285

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Development of an optogenetic tool to control actin polymerization2023

    • Author(s)
      Kei Yamamoto, Yosuke Yamazaki, Kazuhiro Aoki, Makito Miyazaki
    • Organizer
      RIKEN BDR symposium
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] アクチン重合の光操作ツールの開発2022

    • Author(s)
      山本 啓, 青木 一洋, 宮﨑 牧人
    • Organizer
      定量生物学の会 第10回年会
  • [Presentation] Optogenetic manipulation of actomyosin contractility uncovers roles of cortical tension during cytokinesis2022

    • Author(s)
      Kei Yamamoto, Makito Miyazaki, Kazuhiro Aoki
    • Organizer
      CREST多細胞領域 第16回 Rising Star Webinar
    • Invited
  • [Presentation] 細胞内収縮力の光操作による細胞質分裂の力学的制御機構の解析2022

    • Author(s)
      山本啓, 近藤洋平, 青木一洋
    • Organizer
      第74回日本細胞生物学会
  • [Remarks] Researchmap

    • URL

      https://researchmap.jp/kei_yamamoto

URL: 

Published: 2023-12-25  

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