2023 Fiscal Year Annual Research Report
Lagrange型固液混相モデルによる砕波帯内の漂砂動力学の新展開
Project/Area Number |
22KJ1825
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田崎 拓海 京都大学, 工学研究科, 助教
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 漂砂 / 砕波帯 / 粒子法 |
Outline of Annual Research Achievements |
助成事業が基金化される以前の2022年度から一貫してLagrange型の固液混相流モデルを用いて砕波帯内の漂砂機構を検討してきた.水の流れを対象とした数値解析は従来から行われ,波浪場の解析例も多く存在していたが,波の崩れる砕波帯以浅では従来の解析手法では水面のトポロジー変化を捉えることができなかった.Lagrange型の流体解析手法(粒子法)は,この課題を解決し得る手法であり,これまで砕波を伴う波浪場への適用性の高さが示されていた.本研究課題では,移動床現象を素過程,つまり個々の底質要素の運動から捉えることができる数値移動床を粒子法を連成したLagrange型固液混相流モデルにより,砕波帯内の漂砂機構を検討した.基金化以前の2022年度は砕波下漂砂過程の3次元解析の実施とParticle Image Velocimetry (PIV)により取得した瞬時流速場との比較を通したモデルの性能評価を中心に行った. 2022年度では砕波点あるいは打ち込み点直下を対象としたが,2023年度ではより汀線に近い領域を対象に,Lagrange型固液混相流モデルにより砕波後の複雑な流れを形成する遡上波による漂砂機構を検討した.水深の浅い波打ち帯では連続的に発生する砕波によって形成される水平渦が移動床へ接近し,直接的に漂砂へ影響することが示され,移動床が粗礫によって構成される場合は,水平渦が岸向きの漂砂量を減少させることがわかった.また,遡上域で生じる強い海浜内部への浸透流は礫の輸送量を減少させることも示された. これらの結果は,大規模渦や浸透流が漂砂量のモデリングにおいて考慮されるべきであることを強調し,解析結果から既往の浸透流を考慮した漂砂量式が漂砂量の推定に有効であることが示唆された.以上の考察は海浜変形シミュレーションの精度向上に資する物理現象に基づいた知見を与えるものである.
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Research Products
(5 results)