2022 Fiscal Year Annual Research Report
反響マッピング・多波長観測・長期間光度曲線を用いた、状態遷移するクエーサーの研究
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22J13428
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
名越 俊平 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 超巨大ブラックホール / クエーサー / 活動銀河核 / 銀河 / 光度変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
この研究は、輝く超巨大ブラックホールであるクエーサーの光度変化に焦点を当てたもので、取り組んでいる主要な課題は2つあります。
1つ目の課題では、クエーサーの光度変化に見られる一般的な特性をアーカイブデータの解析によって明らかにしています。クエーサーは一般的にランダムな光度変化があることが知られていますが、約1万天体の10年間の光度変化を違う時期の測光観測と比較して計算し、それぞれのスペクトル的特徴を照らし合わせました。この研究により、クエーサーはEigenvector 1と呼ばれる一定の相関を保つように光度変化していることが新たに発見されました。この成果は、2022年度に査読論文1件とプレスリリースで公表されました。
2つ目の課題では、大きく光度変化するクエーサーを長期間連続的に分光観測することで、中心核の構造を調査しています。日本最大の3.8m口径の望遠鏡を用いて、観測史上最大級の光度変化を示した天体を連続的に分光観測しました。アーカイブデータも含めると約20年間のスペクトルを解析し、輝線形状の変化から輝線放射源の広がり方を推定できました。この研究によって、観測天体のブラックホール質量や中心核構造の推定に成功しました。輝線放射源の構造については未解明な点が多くありましたが、本研究によって特性の異なる領域が複数存在することが明らかになりました。現在、この研究成果に関する論文の投稿準備中です。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は研究成果として査読論文を1件出版し、京都大学にてプレスリリースを行なうことができた。また並行して遂行していた研究課題についても、研究結果が概ね出揃い論文投稿準備中であることから、概ね順調であると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、せいめい望遠鏡を用いた反響マッピングの論文を出版することを目指している。それが完了次第、反響マッピングで得られた特性が観測天体特有の性質なのかを、他の天体と比較検証していく計画である。
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