2022 Fiscal Year Annual Research Report
鏡像スクリーニングを用いた低免疫原性鏡像型モノボディの創製と応用
Project/Area Number |
22J13697
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岩本 直也 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | モノボディ / 鏡像型タンパク質 |
Outline of Annual Research Achievements |
報告者は、全長がD-アミノ酸からなる「鏡像型タンパク質」の新規医薬品モダリティとしての応用可能性を模索するべく、「鏡像スクリーニング」と呼ばれる戦略に基づいた鏡像型抗体様分子の創製を目指し研究を展開している。具体的には、モノボディなどの小型の抗体様分子に着目し、①腫瘍免疫に関わるタンパク質間相互作用を阻害可能な鏡像型抗体様分子、②他の鏡像型抗体様分子の血中滞留性の改善に利用可能な血清タンパク質に結合親和性を示す鏡像型抗体様分子の取得を目的としている。本年度は、これらの抗体様分子の配列の探索に必要な鏡像型標的タンパク質の取得に向けた検討を行った。 ①については、昨年度までに取得した膜タンパク質の細胞外ドメインに加えて、その相互作用タンパク質の細胞外ドメインの鏡像型タンパク質の化学合成に取り組んだ。後者の細胞外ドメインタンパク質はこれまでに化学合成の報告はなく、免疫チェックポイント阻害剤の創製を目的とした鏡像スクリーニングの新規標的として利用可能であると考えられる。種々の検討の結果、ペプチドフラグメントを適宜連結することにより、その配列を構築することに成功した。現在は、得られた細胞外ドメインタンパク質のフォールディング条件の確立に向けた検討を行っており、これまでに適切な添加剤を用いた際に凝集が抑えられることを見出している。 ②については、血清タンパク質に含まれるドメイン構造の化学合成に取り組んだ。このドメイン構造の化学合成の報告はなく、鏡像型抗体様分子のさらなる応用可能性を示すうえで有用な標的であると考えられる。ペプチドフラグメントの連結部位・連結する順序などの検討の結果、このドメインの配列の構築に成功した。現在、得られたサンプルを用いて、適切なフォールディング条件の確立に向けた検討を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鏡像スクリーニング戦略の標的として設定した各タンパク質について、化学合成による配列の構築法を確立することができたため。一方で、各タンパク質を活性構造へと導くフォールディング条件の確立には至っておらず、さらなる条件検討が必要であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
各標的タンパク質について、引き続きフォールディング条件の確立に向けた検討を行う。フォールディング条件を確立したのち、各鏡像型タンパク質を調製し、ファージライブラリーなどを用いたスクリーニングへと適用する。スクリーニングにより得られた抗体様分子配列をもとに、鏡像型抗体様分子を化学合成し、その生物活性を評価する。
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Research Products
(4 results)