2023 Fiscal Year Annual Research Report
物質移動が木質部材の火災後の燃え止まり現象へ及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
22KJ1844
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
孫 安陽 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | 木質構造部材 / 燃え止まり / 耐火 / 熱物質移動 / 数値解析 / カラマツ / 熱伝導率 / 平衡含水率 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に以下の研究を行った。 1.木質部材の火災全過程の挙動解析:令和4年度に作成した解析モデルを改良し、部材の収縮と表面亀裂を考慮した。また、計算で使用する熱伝導率等の物性値は文献調査と実測に基づきモデル化を行った。その後、既往のコーンカロリーメーター(CCM)と小型耐火炉を用いた木質試験体加熱実験の条件に基づいて解析を行い、実測結果と比較した。小型炉実験では、冷却期間中の炉内への給気量が異なる場合でも再現精度が比較的良好であった。CCM実験の場合は加熱時の最大発熱速度や加熱時間が短い時の温度を概ね再現可能であった。 2.表面損傷が燃焼状況に対する影響の検討:木質部材の表面損傷が燃焼状況に対する影響を検討するため、カラマツ集成材試験体のCCM加熱実験を行った。溝を予め加工した4種類の試験体を加熱し、加熱時の温度、発熱速度と実験終了後の炭化面進行を調べた。溝幅が広くなるほど温度上昇や炭化面の進行が激しくなるが、溝幅が同じであれば溝深さの増加による温度上昇や炭化面進行の増加は軽微であった。溝加工により試験体の定常燃焼時の発熱速度は約20%増加した。 3.各種条件が燃え止まりへ及ぼす影響の検討:検証されたモデルを用いて感度解析を行った。耐火試験の条件を基準として、比透気率、含水率などを変更して感度解析を行い、燃え止まり時間を分析した。その結果、初期含水率が高く、熱伝導率が小さい木材は燃え止まり易いことがわかった。比透気率と燃え止まりは最適の数値が存在し、今回の検討条件で最も燃え止まり易い比透気率の数値は1.2×10^-15m2であった。 本研究で提案した計算モデルは木質部材の火災全過程の挙動予測に使用できる。特に標準耐火試験の条件に対して解析の再現精度が良好である。今後は計算モデルの精度の更なる向上を行うことと、より普遍性がある燃え止まり発生条件を導くことについて検討する。
|
Research Products
(3 results)