2023 Fiscal Year Annual Research Report
スピノザ哲学の源泉としてのオランダ・デカルト主義――観念の実在をめぐって
Project/Area Number |
22KJ1847
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
榮福 真穂 京都大学, 文学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | スピノザ / エチカ / 観念説 / デカルト / デカルト主義 / 平行論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度4月から11月までは、博士論文「スピノザにおける観念の形而上学」の執筆を通して、スピノザの観念説の内実およびその哲学史的意義の解明に従事した。そこでは、デカルトの観念説を出発点とする17世紀の哲学者たちによる観念説の多様な展開と、その中でのスピノザの位置付けを明らかにし、さらに、『エチカ』の哲学体系の成立において観念が果たす役割や、その射程を詳らかにした。 7月にはフローニンゲン大学にて実施される4日間のサマースクール「コレギウム・スピノザヌム IV」に参加し、最新の知見を学ぶとともに、世界各地からの参加者たちと交流を深めた。また、ハーグおよびレインスブルフの「スピノザの家」を訪問し、蔵書目録や書簡の実物等の調査を行った。これにより、クラウベルクら当時のデカルト主義者たちの著作をスピノザが所持していたことを実際に確認できた。 12月には、ふたたびデカルトの観念説に立ち戻り、その身体的要素との関係に着目した。観念、表象像、物体的表象といった近接諸概念同士の関係を明らかにすることを通じ、観念の形成という局面の具体的な説明をデカルトが試みていたことを明らかにした。この成果は論文化し、『フランス哲学・思想研究』に投稿した。 2月には、鳥越覚生『佇む傍観者の哲学―ショーペンハウアー救済論における無関心の研究』合評会に登壇し、〈生きる意志〉を個物の根幹に置くという共通点からショーペンハウアーとスピノザの思想を比較する提題を行い、他の登壇者たちと意見を交換した。ショーペンハウアー哲学といういわば外からスピノザ哲学を眺めることで、本研究課題の遂行を通じて得られた帰結を再検討する機会となった。
|