2022 Fiscal Year Annual Research Report
ウェアラブルデバイスへ向けた無線電力伝送システム用小型高効率受電レクテナの開発
Project/Area Number |
22J14332
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
河合 勝己 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 無線電力伝送 / レクテナ / 高調波 / ソース・ロードプル / ウェアラブルデバイス |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的である高調波を位置推定信号として再放射可能なウェアラブルデバイスへの無線電力伝送システム用小型高効率円偏波レクテナの開発に向けて,本年度は以下2点に取り組んだ. 初めに整流回路からアンテナ側に反射される高調波の振る舞いを解析した.シングルシャント型及びシングルシリーズ型整流回路において,理想ダイオードと理想回路を用いて全波整流時の高調波レベルについて回路シミュレータで解析した.解析の結果,両方式において整流回路からアンテナ側に反射される高調波は2次高調波よりも3次高調波の方が高い電力レベルであることを確認した.そこで,位置推定信号として再利用する高調波を3次高調波に決定した. 次に,高い整流効率と高い高調波再放射レベルを両立するために,整流回路設計に高調波を含むソース・ロードプル解析を新たに導入した.先行研究のソースプルを用いた整流回路設計では,基本波成分のみに注目している.本研究では,整流回路設計に高調波を含んだソース・ロードプル解析を行うことを提案している.特に,高調波を含むソースプル解析によって,高い整流効率と高い3次高調波再放射レベルを両立するために必要なアンテナの入力インピーダンスを導出することができる.本年度は回路シミュレータADSを用いた高調波を含むソース・ロードプルによる整流回路の設計手法を確立した.ソースプルシミュレーションの結果を用いて,基本波及び3次高調波で励振可能な逆Fアンテナを設計した.設計した逆Fアンテナと整流回路を組み合わせたレクテナを開発した.レクテナへの無線電力伝送実験を行った.基本波920MHz,3次高調波2.76GHzにおいて,整流効率71%,3次高調波再放射レベル-7.09dBmを得た.本研究で提案した高調波を含むソース・ロードプル解析を用いたレクテナ設計については国際会議(査読有)で採択され,口頭発表予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画では,高効率かつ高調波を反射可能な整流回路を設計後,リング状二重円偏波アンテナの開発まで行う予定であった.しかし,本年度は新たなレクテナの設計方法の確立に時間を要したため,リング状二重円偏波アンテナの設計まで至っていない.高い整流効率と3次高調波レベルを両立可能なレクテナを実現するためには,整流回路単体ではなく受電アンテナの特性も考慮した設計が必要であった.そこで,レクテナ設計に新たに高調波を含むソース・ロードプル解析を導入した.ソース・ロードプルにより,整流ダイオード周辺に接続する受電アンテナと出力フィルタに必要な各高調波の入力インピーダンスを同定することができる.本年度は回路シミュレータで高調波を含むソース・ロードプル解析を用いた整流回路設計方法を確立した.新たに提案した高調波を含むソース・ロードプルシミュレーションによるレクテナ設計が有用であることを確認するために直線偏波のレクテナを作成し無線電力伝送実験を行った.ソース・ロードプルシミュレーションの結果を用いて,基本波及び3次高調波で励振可能な直線偏波の逆Fアンテナと出力フィルタを設計した.設計したアンテナと出力フィルタをダイオードに接続したレクテナを作成した.基本波920MHz,3次高調波2.76GHzのレクテナに対して送電を行い,レクテナの整流効率及び3次高調波再放射レベルを測定した.測定の結果,整流効率71%及び3次高調波再放射レベル-7.09dBmを得た.しかし,測定方法の正確性が不十分であるなど実験にも改善点が残る.また,ソース・ロードプルシミュレーションの結果は実際の回路特性と異なる可能性がある.よって,今後は高調波を含むソース・ロードプルの測定方法の確立が必要であると考える.ソース・ロードプルの測定方法を確立した後,受電アンテナの設計に取り組む予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
初めに,整流ダイオードに対する高調波を含むソース・ロードプル測定方法の確立を目指す.回路シミュレータで得られた各高調波の入力インピーダンスは実際と異なる可能性がある.高調波を含むソース・ロードプル測定が可能になると,受電アンテナと出力フィルタに必要な各高調波における入力インピーダンスを実験的に同定することができる.よって,測定した入力インピーダンスを満たすように受電アンテナと出力フィルタを逆設計することができる.測定方法として,MHz帯ソース・ロードプルをGHz帯に拡張する手法を考案している.本手法は先行研究において高周波増幅器の設計に用いられている.よって,増幅器と時間反転双対となるレクテナにおいてもMHz帯ソース・ロードプルをGHz帯に拡張する方法は有効であると考える. 次に,リング状二重円偏波アンテナを設計する.アンテナの基本波及び3次高調波の入力インピーダンスは,ソース・ロードプル測定結果を満たすように調整する必要がある.そこで,入力インピーダンスを給電点位置の調整で容易に調整することができるリング状パッチアンテナを受電アンテナの基本形状に採用する予定である.リング形状によってできる中央スリットに基本波と同様の3次高調波再放射用リング状アンテナをさらに追加できると考えている.また,アンテナGND部を一部切り欠き整流回路を実装し,1枚の誘電体基板でレクテナを構成することでレクテナの小型化を行う. 最後に,レクテナへの無線電力伝送実証実験を行う.実証実験では,レクテナに用いるアンテナと同様のアンテナを送信機とする.送信機から基本波電力をレクテナに送信して受電・整流を行う.この時に発生する3次高調波を送信機の3次高調波用アンテナ部で受信する.実証実験によって新たに開発したレクテナが高効率な整流動作及び3次高調波をパイロット信号として再放射が可能であることを示す.
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[Presentation] Smartphone MPT2022
Author(s)
Nobuyuki Takabayashi, Katsumi Kawai, Takero Toyonaga, Kento Suzuki
Organizer
IEEE Global Student Wireless Power Competition 2022
Int'l Joint Research
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