2023 Fiscal Year Annual Research Report
契約農業への参加をめぐる農家の生計戦略:ケニアにおける輸出作物の栽培を事例として
Project/Area Number |
22KJ1880
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久保田 ちひろ 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 小規模農家 / 地域組織 / アフリカ / 商業的農業 / 開発援助 / 園芸作物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は博士論文の執筆を中心に研究を進め、これまでに収集したデータを再度分析し、以下のことが明らかとなった。一点目は、契約農業の粗利益の概算から、ほとんどの農家が利益を得られなかったことである。同時に2022年の現地調査で実施したアンケート調査から、農家は現金収入の向上を期待して契約農業に参加しており、その期待が裏切られた結果となったことが分かった。二点目は、他の作物との比較である。契約農業とその他の商品作物から得られる収益を比較したところ、他の商品作物の売り上げ見込みが契約農業よりも高いことが、2022年に実施したアンケート調査の分析から明らかになった。先に述べたとおり、契約農業から得られる収益低く、参加農家は契約農業以外の作目を中心として営農していたことが分かった。作物をやりとりする仲介業者であるバイヤーとの関係を見ても、バイヤー側から不当に買取価格を下げるようなことはなかった。このことからも、契約農業の利点として挙げられる「作物の販売先が保証されている」という点が調査地では大きなメリットとはならず、契約農業が選択されないことが明らかとなった。 これまでの研究で契約農業への農家の参加が流動的であったことを明らかにしていたが、博士論文ではこれらの分析結果が理由として挙げられると結論づけた。また、補足の現地調査では、2022年から開始した調査対象グループの援助受け入れ団体としての活動を中心に聞き取りを行った。その結果、援助の受け入れ団体としての活動は活発ではなく、それに付随して導入された農村貯蓄グループとしての活動が中心となっていることが分かった。なぜ、援助受け入れ団体としての活動が活発にならなかったのかという点については、博士論文に十分に反映することができなかったため、今後の研究課題としたい。
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Research Products
(1 results)