2022 Fiscal Year Annual Research Report
異常高原子価イオンを含む新規酸化物の合成とその熱量効果に関する研究
Project/Area Number |
22J15128
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小杉 佳久 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
Keywords | 異常高原子価イオン / 電荷相転移 / 熱量効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は「異常高原子価イオンを含む新規酸化物の合成とその熱量効果に関する研究」というテーマで遂行された。本研究の目的は、異常高原子価イオンを含む遷移金属酸化物の熱物性に焦点を当て、特異な電荷相転移を示す物質を合成し、熱量効果を評価することである。 本年度の研究では、巨大熱量効果を示すNdCu3Fe4O12のFeイオンを他の3d遷移金属に一部置換したNdCu3Fe4-xMxO12の合成を行い、磁気熱量効果の発現を試みた。合成は高温高圧法を用いて焼成し、NdCu3Fe3.5Mn0.5O12、NdCu3Fe3MnO12、NdCu3Fe3CoO12で単相試料の合成に成功した。NdCu3Fe3.5Mn0.5O12では、転移温度が250 Kまで下がったが、電荷相転移による反強磁性転移を維持した。一方NdCu3Fe3MnO12では、240 Kでフェリ磁性転移がみられたが、潜熱を伴わない二次相転移であった。NdCu3Fe3CoO12では低温まで常磁性的な挙動を示した。これらの結果は、電荷移動を担うFeサイトの置換では、一次相転移を維持してのフェリ磁性への変換が困難であることを示唆する。 また、PrCu3Fe4O12において室温における圧力熱量効果について調べた。PrCu3Fe4O12では、NdCu3Fe4O12よりも高温側で同様の電荷移動転移を示し、圧力印加で転移温度を室温付近まで下げることが可能である。圧力下放射光X線回折の結果から、圧力印加により実際に構造相転移がみられ、加圧により電荷移動転移が生じていることを確認した。温度変化の測定では、減圧とともに急激な温度上昇が観測され、圧力による熱制御が可能であることを実証した。 以上の一連の結果は、異常高原子価Feイオンの電荷移動転移に注目して、物性や熱量効果を調べたものであり、室温での熱量効果による熱制御の進展に貢献するものである。
|
Research Progress Status |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Strategy for Future Research Activity |
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
|
Research Products
(3 results)