2023 Fiscal Year Annual Research Report
面性不斉を有する環状ホスト分子による集合体構築とその機能開拓
Project/Area Number |
22KJ1898
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
和田 圭介 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | ピラーアレーン / 面性不斉 / 動的不斉 / ホストーゲスト錯体 / 電荷移動錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
環状分子ピラー[5]アレーンの特性である面性不斉及び、機能化のしやすさに着目し、分子が作るナノ空間の活用に取り組んだ。前者に関して、ピラー[5]アレーンの動的な面性不斉は側鎖に不斉炭素を導入することでジアステレオマーの関係を形成させた。得られたジアステレオマーのピラー[5]アレーンはゲスト溶媒分子により片方の面性不斉の誘起が可能であった。ゲスト溶媒で片方の面性不斉を誘起した後、嵩高い置換基を導入することで動的な面性不斉を静的な面性不斉に変換する事が可能であり、動的な面性不斉の制御後の不斉情報の保存が可能になった。さらに、結晶化のプロセスを用いることで偏りをほぼ100%近い状態で固定する事にも成功した。このような、動的な不斉制御だけでなく、ピラー[6]アレーンの面性不斉の固定にも成功した。ピラー[5]アレーンよりも大きいピラー[6]アレーンの内部空間への応用を切り開く研究となった。 また、ピラー[5]アレーンの機能化に注目し共役系分子の導入による発光材料の開拓も行った。ピラーアレーンの1ユニットにカップリング反応を施すことで、共役系ユニットを含むピラー[5]アレーンを合成した。蛍光スペクトル中に二つのピークを有するDual Emissionを示す事が明らかとなった。DFT計算や実験データによって、Dual Emissionは励起状態での構造緩和によって引き起こされるものだと推定された。構造緩和は共役系部位の自己包接挙動であるため、ゲスト分子的かによるDual Emissionの制御も可能であった。他にも、リン光分子をピラー[5]アレーン内部に閉じ込めることでりん光発光をマスクすることにも成功した。この包接錯体にヘキサン蒸気を暴露することで、ゲスト交換が起こり閉じ込められたりん光分子が押し出される挙動を確認した。結果的に、りん光発光がターンオンする様子が観測された。
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