2022 Fiscal Year Annual Research Report
Cosmological evolution of galaxies probed with multi-wavelength observations
Project/Area Number |
22J20011
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
浅田 喜久 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 銀河 / 星形成 / 銀河進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
Spitzer Space Telescope(SST)による観測のアーカイブデータを用いて、赤方偏移6付近の銀河の星形成率関数を調査した。特にSSTによる中間赤外線観測を用いることで、この赤方偏移における静止系可視光の観測データまで含めた調査が可能となる。その結果、従来の手法による調査では特に星形成率の大きな銀河の数密度が過小評価されていた可能性が示唆された。ここから、赤方偏移が6以上の初期宇宙において、銀河の星形成率関数は特に明るい側で急速に成長していたことが示唆される。
加えて、2022年7月より科学観測を開始した、SSTの後継機ともいえる最新の宇宙望遠鏡James Webb Space Telescope (JWST)による観測を用いることで、従来のSST観測を用いた調査より一桁以上暗い銀河まで対象にした星形成率関数の調査を開始した。その中で、赤方偏移5付近で超低質量銀河が銀河合体により活発な星形成活動を示している例を偶発的に発見した。この銀河は星質量がおよそ10^6.9太陽質量と、これまでに知られている系外銀河の銀河衝突の中でも最も低質量銀河同士の例である。初期宇宙における低質量銀河は宇宙再電離において重要な役目を果たしたと考えられていることを踏まえると、この例は銀河合体が宇宙再電離の主要な寄与を占めていた可能性を示唆している。
これらと並行して、高赤方偏移宇宙における星形成率関数を、銀河の星質量関数と主系列関係を組み合わせる手法を考案、調査した。その結果、これまでの本研究によって示唆されてきた銀河進化の描像と整合する結果が得られ、特に赤方偏移が6以上の宇宙において銀河が効率よく進化していた可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで、静止系紫外線から可視光までの観測データを用いた、高赤方偏移銀河の星形成活動の推定は、大質量銀河のみを対象として行われていた。これは従来の中間赤外線望遠鏡であるSSTの観測限界に由来する。しかしSSTの後継機であるJWSTによる観測が開始されたことで、より低質量で暗い銀河の星形成活動が推定可能となった。現時点ではJWSTの初期成果が得られ始めた段階であるが、実際に低質量銀河が銀河合体によって成長している例が観測的に確認できるなど、本研究におけるJWSTの有効性が実証された。このように、高赤方偏移における、特に低質量銀河の進化の描像が明らかになりつつあることから、概ね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
上記のように、JWSTによる観測を用いた高赤方偏移宇宙における銀河の星形成活動の調査が可能となりつつある。しかし現在進行形で観測が行われているところであり、未だに観測データの解析も半ばである。したがって今後はJWSTによる観測データの解析を進め、高赤方偏移宇宙にある低質量銀河の星形成活動について統計的調査を開始する予定である。
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