2022 Fiscal Year Annual Research Report
間葉系幹細胞の分化における一次繊毛の機能に着目した繊毛病の分子基盤の解明
Project/Area Number |
22J20116
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石田 大和 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 繊毛病 / 一次繊毛 / 繊毛内タンパク質輸送 / タンパク質間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、繊毛内タンパク質輸送装置(IFT装置)のサブユニットであるIFT52の変異に起因する繊毛病の分子基盤解明を目指して研究を行った。具体的には、頭蓋外胚葉異形成症(CED)と短肋骨多指症候群(SRPS)を引き起こすIFT52の変異が、IFT装置の構築と細胞レベルの表現型に与える影響を解析した。 タンパク質間相互作用解析の結果、CEDやSRPSを引き起こすIFT52の変異によって、繊毛内タンパク質の順行輸送を担うIFT-B複合体のIFT-B1bサブ複合体とIFT-B2サブ複合体の相互作用が減弱することを見出した。さらに、これらの変異によって繊毛内順行輸送を担うモータータンパク質であるキネシン2とIFT-B複合体の相互作用も減弱することを明らかにした。 次に、繊毛病の原因となるIFT52の変異が細胞レベルの表現型に与える影響を調べるため、IFT52をノックアウト(KO)したhTERT-RPE1細胞を樹立した。このIFT52-KO細胞にCEDやSRPSの原因となるIFT52変異体を発現させたレスキュー細胞を作製し、蛍光抗体法によって細胞の表現型を観察した。その結果、繊毛病の原因変異体を発現させたレスキュー細胞では、一次繊毛に局在するIFT-B複合体が減少し、繊毛先端へのタンパク質輸送が抑制されることを発見した。さらに、IFT52変異体を発現させたレスキュー細胞では、野生型のIFT52を発現させた細胞に比べて一次繊毛の形成率も低下する傾向があった。 以上の結果から、IFT52の変異による繊毛先端へのタンパク質輸送の抑制と、それに伴う一次繊毛の形成不全が繊毛病発症の一因であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度はIFT52の変異がタンパク質間相互作用と細胞レベルの表現型に与える影響を解明し、論文として発表することができた。また、間葉系幹細胞株C3H10T1/2を用いてノックアウト細胞を樹立したり、レンチウイルスベクターを用いてレスキュー細胞を作製したりする技術を確立し、繊毛病の原因変異が間葉系幹細胞の分化に与える影響を調べるための技術基盤を整備することができた。以上の理由から、本研究は当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
一次繊毛が司るヘッジホッグシグナル伝達経路は、間葉系幹細胞の分化において重要な役割を果たすことが知られている。今後は、間葉系幹細胞株C3H10T1/2を用いて、骨格系繊毛病の原因変異が骨芽細胞および軟骨細胞への分化に与える影響を解析する予定である。まずはC3H10T1/2細胞を骨芽細胞と軟骨細胞に分化させる実験系を立ち上げるとともに、qPCRによる遺伝子発現解析、ALP染色、Alcian Blue染色などを用いた分化能評価系も確立する。そして、C3H10T1/2細胞でIFT装置のサブユニット遺伝子をノックアウトした細胞に骨格系繊毛病の原因変異体を発現させたレスキュー細胞を作製する。このレスキュー細胞の骨芽細胞および軟骨細胞への分化能を解析することで、IFT装置のサブユニットの変異が間葉系幹細胞の分化にどのような影響を及ぼすか解明する。
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