2023 Fiscal Year Research-status Report
Asymptotic behavior of null geodesics near future null infinity and its application
Project/Area Number |
22KJ1933
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
天羽 将也 京都大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
|
Keywords | 重力理論 / 一般相対性理論 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
対称性の高い時空で便利な光子球面という定義を、対称性の低い時空でも機能するよう一般化した「dark horizon」についての研究に引き続き取り組み、dark horizonがブラックホールの近傍の光源の運動の影響(ビーミング効果)を適切に取り込んだ概念であることを明らかにした。また関連して、当初の計画通り光的測地線の光的無限遠への到達条件の研究を進め、一般の漸近的平坦時空における、光的測地線の光的無限遠到達の十分条件の改良に成功した。また、本研究テーマの一部であるブラックホールの面積不等式と関連して、Black Hole ChemistryにおけるReverse Isomerimetric Inequalityと呼ばれる予想に取り組んだ。具体的には、角運動量の寄与を取り入れることにより、元々提案されたReverse Isomerimetric Inequalityよりも強い不等式を構築できるのではないかと予想を立て、具体例をもとにその妥当性について検証を行った。具体例として、4次元時空においてはKerr-Newman-AdS、Kerr-Sen-AdS、超重力・荷電回転ブラックホール、AdS C計量、5次元時空においては超重力・荷電回転ブラックホール、重力ソリトン、5次元以上ではブラックリング、といったさまざまな次元・トポロジーの例について幅広いパラメータに対して検証を行い、その全てについて新しい予想をサポートする結果を得た。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
dark horizonが光源の位置のみならず、その運動の影響も適切に取り込んだ概念であることを明らかにしたことは、当初の計画以上の進展であった。加えて、光的測地線の光的無限遠への到達条件について、一般の漸近的平坦時空において証明することができた点についても想定以上の成果であった。加えて、Reverse Isomerimetric Inequalityを改良する予想を構築できたことも、当初の計画以上であった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後の研究計画は次の2点からなる: 1. Reverse Isomerimetric Inequalityに対応する不等式予想を漸近的平坦時空で構築すること 2. dark horizonの観測との対応を明確化すること
|
Causes of Carryover |
他の研究費を獲得し、スペインへの渡航費用などの支出を抑えることができたため、今年度の支出を抑えることができた。一方で、海外の研究者との共同研究の中で再度渡航の意義を感じたため、次年度の支出に充てることとなった。
|