• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2022 Fiscal Year Annual Research Report

Development of the measurement, identification and quantification methods for investigating nanoplastic dynamics from terrestrial to atmospheric environments

Research Project

Project/Area Number 22J21105
Allocation TypeSingle-year Grants
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

森岡 たまき  京都大学, 地球環境学舎, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2022-04-22 – 2025-03-31
Keywordsマイクロプラスチック / ナノプラスチック / 熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計 / 浮遊粒子状物質
Outline of Annual Research Achievements

大気中のマイクロ・ナノプラスチックの分析手法を開発し、その成果について第57回日本水環境学会年会で口頭発表を行った。本研究はこれまで測定が困難であった粒径数μm未満のプラスチックを分析するために、熱分解GCMS(熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計)に着目した。この装置は高分子を高温で熱分解し各ポリマーに特異な熱分解生成物を生成し、ガスクロマトグラフ質量分析計で分析することで元のポリマーの化学組成を推定することができる。
本研究は熱分解GCMSに冷却捕集を組み合わせることで、定性・定量下限値を下げ、環境中の低濃度のマイクロ・ナノプラスチックの分析を可能にした。また、大気試料の採取方法と分析前処理方法の検討や、各ポリマーの指標となる熱分解生成物の選定、大気中の夾雑物のプラスチック分析への影響の調査を行った。これによりポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなど主要なポリマー11種について、大気中の各ポリマーの存在量を分析することが可能となった。
これまで大気中に含まれる粒径10 μm未満のプラスチックの存在実態はほとんど明らかとなっていない。本研究は、京都市内4階建ての建物の屋上にてアンダーセンエアサンプラーを用いて大気粒子を分画して捕集した後、本手法で分析し、11種のポリマーについて粒径0.43~10 μmの大気粒子中の存在とその含有量、微細化傾向を明らかにした。大気中に汎用性プラスチックであるポリエチレンやポリスチレン、衣服に使用されるポリエステルやポリアミドが検出された。その濃度はおおよそ数ng/m3~100 ng/m3であり、各ポリマーが異なる微細化傾向を示すことが明らかとなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の主目的はこれまで測定が困難であった粒径数マイクロからナノサイズのプラスチックを分析する手法を開発し、各ポリマーについて大気中の存在実態を明らかにすることである。大気環境中の数μm未満のプラスチックは低濃度で存在すると予想される。そのため冷却捕集と組み合わせてサンプル全量を熱分解GCMSで分析する手法を検討した。これにより、ポリエチレンで10倍程度の高感度検出が可能となった。
大気中に含まれる数μm未満の微小なプラスチックを分析した先行研究では、ポリスチレンなど数種のポリマー成分のみを対象としたものに限られる。本研究では、大気試料の採取方法と分析前処理法の検討や、各ポリマーの指標となる熱分解生成物の選定などを行い、さらに大気中の夾雑物が各ポリマーの指標となる熱分解生成物に及ぼす影響を調べた。これにより11種のポリマーについて、大気中での存在量を分析することが可能となった。これに全量導入法と分画捕集を組み合わせ、大気中に含まれる粒径0.43~10 μmのプラスチックを粒径別に把握する手法を開発し、大気中の各ポリマーの存在を明らかにした。以上より、おおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

本年度の成果により、ポリエチレンやポリスチレンなどのポリマーが粒径430 nmまで微細化していることが明らかとなった。今後は、各ポリマーがさらに微細化して大気中に存在するのかを調べるため、数10 nmや分子量単位のプラスチックを測定する手法を開発する。ロープレッシャーインパクターと熱分解ガスクロマトグラフ質量分析計を組み合わせたプラスチック分析法などを検討する予定である。ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなど汎用性プラスチックに加え、タイヤのゴムに使用されるスチレンブタジエンゴムなど路面塵埃に含まれるプラスチックや、ポリエステル、ナイロンなど繊維に使用され、大気降下物中に多く検出されているプラスチックを対象とする。
また、各ポリマーの大気中の存在実態をフィールド調査と劣化試験を組み合わせて明らかにする。ポリマー種の違い、添加剤の有無、劣化度などを考慮してプラスチックを微細化させ、微細化傾向の違いを明らかにする。また人口・交通量・プラスチックの利用特性などが異なる地域で、本研究で開発した分析手法を用いて大気中のマイクロ・ナノプラスチックの存在量や微細化傾向の違いを調査する。これを劣化試験の結果と比較し、実環境での各ポリマーの微細化の要因などを考察する。大気粒子中の各粒径のプラスチック存在量やポリマー種の違いなどから生物への影響について議論し、本研究の主目的を達成する。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 熱分解 GC/MS による大気中に含まれる粒径 0.43~10 μm のプラスチック成分含有量の分析手法の検討2022

    • Author(s)
      森岡たまき、田中周平、小浜暁子、渡辺壱、高田秀重
    • Organizer
      第57回日本水環境学会年会

URL: 

Published: 2023-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi