2021 Fiscal Year Annual Research Report
大規模計算を活用した積層造形の高精度材料組織予測マルチスケールモデリング
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21J23371
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
光山 容正 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | フェーズフィールド法 / 積層造形 / 凝固 / 大規模計算 / 材料組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
積層造形法(AM)は特別な装置や鋳型等を用いずに複雑形状の製品を作成できるため世界中で注目されている.一方で,AMプロセス中の凝固組織が製品の特性に直接影響するため凝固組織を高精度に予測し制御する技術は重要であるが,AMプロセス中の物理現象を高精度に網羅するシミュレーションはモデリングの困難さや計算コストの高さの面から重要な課題となっている.本研究では,GPUによる大規模計算を利用したAMで形成される材料組織をフェーズフィールド法によって高精度に予測可能なマルチスケールの数値解析手法を構築することを目的とする.そこで,ミクロスケールにおけるデンドライト組織の影響をデンドライト樹間の液相流動の流れ易さを表す透過率で表現しフェーズフィールド法を用いたメゾスケールの組織予測に導入し,マクロスケールでの熱伝導を有限要素法で,液相流動を格子ボルツマン法で予測しメゾスケールの組織予測モデルに組み込むことで実用的なAMプロセス中の材料組織全体を対象としたマルチスケールモデルの構築を行う.本年度は,ミクロスケールのデンドライトの影響を直接扱わずにメゾスケールの凝固組織予測に導入するための透過率のモデル化を行った.このとき,特に形態に異方性のある柱状デンドライトを対象としフェーズフィールド法を用いて一方向凝固計算によって予測した柱状デンドライトに対し格子ボルツマン法によって液相流動計算を実行することで導出した透過率と予測したデンドライトの形態を評価することでモデリングを実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
特に形状に異方性のある柱状デンドライトの透過率を統一的に表現する手法を確立するためにフェーズフィールド法を用いた一方向凝固計算による複数パターンの柱状デンドライト構造の予測と格子ボルツマン法による様々な方向での液相流動計算を実行し透過率の評価を行った.これについては,2021年に開催された第34回計算力学講演会で発表した.しかし,デンドライトの二次枝が発達し形態が複雑化したときこれまでの透過率を表現する手法では統一的な表現を行えないために新たな評価の手法を調査していた.この原因としては形態が複雑化することで流動に寄与しない部分であり,現在その問題を解決するための評価手法を構築している.本年度における大部分の時間はこの問題を解決するために用いたため続く研究内容の進捗に順次遅延を生じさせている.
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Strategy for Future Research Activity |
透過率のモデリングとマルチフェーズフィールド法を用いたメゾスケールでのAMプロセス中の凝固組織予測モデルの構築の2つを主軸にして研究を実施する.このとき,透過率では全てのデンドライトを表現できる評価手法の構築,デンドライトを直接扱わないため熱履歴といった凝固条件からデンドライトの形態を導出し透過率との定量化を実行する.また,AMではマルチフェーズフィールド法を用いた液相流動と固体運動を考慮した二元合金の多結晶凝固モデルに気相を追加した本研究における基軸となるモデルの構築を行う.
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