2021 Fiscal Year Annual Research Report
電子運動に駆動される磁気リコネクションの微視的物理過程と電磁場構造に関する研究
Project/Area Number |
21J20499
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
境 健太郎 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | レーザー / プラズマ / 実験室宇宙物理 / 磁気リコネクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に非平衡プラズマにおける協同トムソン散乱の研究を行った。Particle-in-cellシミュレーションを用いて、電子二流体不安定性が成長する対向流プラズマでの協同トムソン散乱のイオン音波共鳴スペクトルを検証した。電子二流体不安定性により電子の速度分布関数が初期条件である2つのMaxwellianの和で表せる状態から変化し、その結果生じた分布関数の非対称性により、イオン音波共鳴スペクトルのイオンの流れに対して逆向きに散乱される成分が大きくLandau減衰することで非対称なスペクトルになることが分かった。この成果をもとに論文を投稿する準備をしている。また、電子プラズマ波共鳴における同様の成果 [K. Sakai et al., Phys. Plasmas (2020)] とあわせて台湾国立中央大学のNCU100TWレーザーを用いた原理検証実験を提案しようと考えている。 また、実験的に非平衡プラズマの協同トムソン散乱スペクトルを計測する試みを開始した。関西光科学研究所のJ-KARENレーザーを用いて生成した非平衡・非定常プラズマからの散乱光をイメージング計測することで散乱光の空間分布を、分光計測することでスペクトルを取得した。水素・アルゴンのクラスターターゲットを用いた計測の結果、レーザーとクラスターの強い相互作用が起こった場合には、散乱スペクトルは大きく広がり、長波長側にシフトすることが分かった。また、水素クラスターターゲットを使用したときにのみ周期的に波打つような形状のスペクトルが計測されている。来年度はスペクトルの周期構造が何に由来するのかをParticle-in-Cellシミュレーションを用いて検証する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の蔓延により当初の予定と異なり、台湾の国立中央大学で予定していた非平衡プラズマのトムソン散乱スペクトルを計測する実験が実施できていないが、その分理論・シミュレーション研究に注力できた。電子二流体不安定性が成長する場合の電子プラズマ波共鳴・イオン音波共鳴に特徴的なスペクトル形状を特定した。台湾の入国制限が解除されたらすぐに実験に取り掛かるための理論的な足場ができたという点で、おおむね順調な進展状況だといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本年度研究を行った非平衡プラズマにおける協同トムソン散乱の成果を活用して、磁気リコネクションのインフロー・アウトフローを計測し、リコネクション率の議論を行う。また、磁気リコネクションの相互作用領域での磁場を計測する実験を行う。また、不安定性が成長する場合の散乱スペクトルを実験的に検証する予定である。 J-KARENレーザーを用いた散乱スペクトルの研究は、今年度計測したスペクトルの周期構造が何に由来するのかをParticle-in-Cellシミュレーションを用いて検証する。また、レーザーの集光強度を変化させた実験、メインパルスの到達前にターゲットと相互作用する比較的弱い光であるプレパルスの有無をコントロールした実験を行い、スペクトルの振る舞いがどう変わるかを実験的に計測する。
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[Journal Article] High-power laser experiment forming a supercritical collisionless shock in a magnetized uniform plasma at rest2022
Author(s)
R. Yamazaki, S. Matsukiyo, T. Morita, S. J. Tanaka, T. Umeda, K. Aihara, M. Edamoto, S. Egashira, R. Hatsuyama, T. Higuchi, T. Hihara, Y. Horie, M. Hoshino, A. Ishii, N. Ishizaka, Y. Itadani, T. Izumi, S. Kambayashi, S. Kakuchi, N. Katsuki, R. Kawamura, Y. Kawamura, S. Kisaka, T. Kojima, A. Konuma, K. Sakai et al.
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Journal Title
Physical Review E
Volume: 105
Pages: -
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Robustness of large-area suspended graphene under interaction with intense laser2022
Author(s)
Y. Kuramitsu, T. Minami, T. Hihara, K. Sakai, T. Nishimoto, S. Isayama, Y. T. Liao, K. T. Wu, W. Y. Woon, S. H. Chen, Y. L. Liu, S. M. He, C. Y. Su, M. Ota, S. Egashira, A. Morace, Y. Sakawa, Y. Abe, H. Habara, R. Kodama L. N. K. Döhl, N. Woolsey, M. Koenig, H. S. Kumar, N. Ohnishi, M. Kanasaki, T. Asai et al.
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Journal Title
Scientific Reports
Volume: 12
Pages: -
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] Magnetic field measurements in electron-scale magnetic reconnection using high power laser2021
Author(s)
Kentaro Sakai, Takumi Minami, Takahiro Nishimoto, Youichi Sakawa, Shunsuke Egashira, Masato Ota, Taichi Morita, Shuichi Matsukiyo, Takuto Kojima, Ryo Yamazaki, Kento Aihara, Kentaro Tomita, Taichi Takezaki, Toseo Moritaka, Yasuhiro Kuramitsu
Organizer
日本物理学会2021 年秋季大会
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