2023 Fiscal Year Annual Research Report
新規固体電解質としてのセミクラスレートハイドレートの性能評価と伝導機構解明
Project/Area Number |
22KJ2069
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
嶋田 仁 大阪大学, 基礎工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | セミクラスレートハイドレート / プロトン伝導 / 固体電解質 / 潜熱蓄熱材 / 水分子のダイナミクス / 中性子準弾性散乱 / 平衡温度 / 分解エンタルピー |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、異なるアニオン種を用いた単結晶セミクラスレートハイドレートの電気伝導率測定を行った。また、セミクラスレートハイドレート内のプロトン伝導メカニズムの解明にも取り組んだ。まず、いくつかの典型的な単結晶セミクラスレートハイドレートの電気伝導率を測定したところ、ハライドイオン(F-,Cl-,Br-)のサイズが小さくなるにつれて、プロトン伝導率は低下することを明らかにした。さらに、水酸化物イオン(OH-)をアニオンとするセミクラスレートハイドレートは、ハライド型のセミクラスレートハイドレートに比べて数桁高いプロトン伝導率を示した。核磁気共鳴法や中性子準弾性散乱測定により、セミクラスレートハイドレートを構成するアニオン種の違いは、水分子の再配向運動に及ぼす影響は小さく、主としてハイドレート構造中に生成するキャリア(プロトン)の量の差に影響を与えていると推測される。 本研究では、研究期間全体を通じて、セミクラスレートハイドレートにみられる電気伝導率の測定と、その伝導機構の解明に取り組んだ。電気伝導率測定の結果から、電荷担体はプロトンであり、ゲストイオンの種類よって、プロトン伝導率は変化する挙動が見られた。また、イオンと水分子の相互作用により、セミクラスレートハイドレートを構成する水分子のダイナミクスは局所的に活性化していることも確認した。この活性化された水分子のダイナミクスが、セミクラスレートハイドレート中のプロトン伝導を促していると考えられる。
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