2021 Fiscal Year Annual Research Report
重力の経路積分の発展および情報喪失問題に関する研究
Project/Area Number |
21J20906
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
姉川 尊徳 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
|
Keywords | 量子もつれ / Entanglement |
Outline of Annual Research Achievements |
・エンタングルメントエントロピーは、ある面で分割された領域間の量子もつれの定量的表現であり、情報喪失問題を定量的に表現できる重要な道具である。しかし、その定義はヒルベルト空間の直積分解を前提としているため、ゲージ理論と呼ばれる理論には適用できないことが知られていた。ゲージ理論は素粒子分野において極めて重要な位置にある理論であり、例えば電磁気学もゲージ理論の一種である。従って、量子もつれの定量的表現が定義できないのは大きな問題であった。そこで、我々はHourglass(砂時計)正則化と命名した手法を提案し、ヒルベルト空間の直積分解を明示的に回避できる方法を具体的に与え、それに対応する砂時計型の時空上の場の理論を考えることで、ゲージ理論においても意味のある新しい定義を与え、予想された結果を与えることに成功した。これにより情報喪失問題などさまざまな文脈で用いられるエンタングルメントエントロピーの適用範囲を一気に広げることが可能になる。この研究は大阪大学の飯塚則裕氏、ニューヨーク市立大学のDaniel Kabat氏との共同研究である。また、現在この研究結果は雑誌に投稿中である。
・また、以上で得られた手法を応用して、球面で分割した場合におけるエンタングルメントエントロピーをゲージ理論で具体的に計算することを考えている。これは、通常の直積分解を仮定した定義との差が如実に現れる例となっており、様々な研究者が関心を寄せている興味深い例となっている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は量子もつれに対する良い理解、新しい知見が得られた。これは重力理論においても基本的な量であり大いに意味のある結果である。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度得られた量子もつれに対する処方箋が大きく真価を発揮するケースについて解析を進めている.
また、時空のWormholeやBootstrapを用いた様々な理論への制限などの研究も計画通りに推し進めていく。
|