2023 Fiscal Year Annual Research Report
皮膚レジデントメモリーT細胞の発現分子が乾癬病態形成に及ぼす影響の検討
Project/Area Number |
22KJ2071
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久米 美輝 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
|
Keywords | Semaphorin 4A / 乾癬 / ケラチノサイト / mTORシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
乾癬において、17型ヘルパーT細胞をはじめとする免疫細胞と皮膚構成細胞が複雑に皮膚病態に関与する。免疫SemaphorinであるSemaphorin 4A(Sema4A)は1型・17型ヘルパーT細胞の分化と活性化に関わる他、末梢臓器の恒常性維持にも重要であることが知られている。しかし、Sema4Aの皮膚での発現と機能は明らかではなかった。本研究では、乾癬病態におけるSema4Aの役割を、乾癬症例・健常人の皮膚組織とマウスモデルを用いて検証した。 Sema4Aは真皮より表皮で強く発現し、乾癬病変部および非病変部のケラチノサイトで健常皮膚と比較しSema4Aの発現が低下していた。イミキモド誘発マウス乾癬様皮膚炎モデルでは、野生型マウス(WT)に比べSema4A 欠損マウス(KO)で耳介腫脹が増強した。無刺激状態において、KOの皮膚は外見上の変化はないものの、WTと比較しT細胞・resident memory T細胞の浸潤数増加、CCL20・IL-17Aの発現亢進、表皮肥厚、サイトケラチンの発現上昇といった乾癬非病変部の特徴を示した。骨髄細胞移植キメラマウスを用いた実験から、ケラチノサイトにおけるSema4A発現が乾癬様皮膚炎に対し抑制的に働くと考えられた。また、Sema4AはケラチノサイトのmTORシグナルを抑制することで、ケラチノサイトの分化、増殖を正常に保つ役割があることを解明した。以上より、Sema4A発現低下に伴うシグナルが乾癬病態形成に作用し、Sema4Aが乾癬治療および再発予防の標的になりうると考えられた。
|
Research Products
(3 results)