2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22KJ2072
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
奥 裕理 大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 銀河形成 / 超巨大ブラックホール / 超新星フィードバック / 活動銀河核フィードバック / 銀河間物質 / 流体シミュレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、公開コードGADGET-4 (Springel et al. 2021) をベースに、宇宙論的流体シミュレーションコードGADGET4-Osakaを開発した。最終年度ではGADGET4-Osakaを使って大規模宇宙論的流体シミュレーションを行い、シミュレーションデータセットCROCODILEを構築した。CROCODILEは銀河の星質量関数などの観測データをよく再現し、今後のすばる望遠鏡などでのサーベイ観測で銀河形成や宇宙論研究をするための重要なデータセットとなる。 ここ十年ほどで同様の宇宙論的流体シミュレーションに成功した研究グループは世界で十グループ程度であるが、経験的なフィードバックモデルの不定性が問題であった。本研究で行ったシミュレーションの特色は、Oku et al. (2022)で開発した高分解能シミュレーションに基づく物理的なフィードバックモデルを使ったことである。 CROCODILEデータセットの初期解析を行い、銀河間空間の金属分布に着目して超新星フィードバックと活動銀河核フィードバックの効果を定量的に評価した。赤方偏移2以上では超新星フィードバックの効果が支配的であり、ボイド領域の金属汚染は超新星フィードバックによって担われていることがわかった。一方で、活動銀河核フィードバックが駆動するアウトフローによって大質量銀河の周辺に数Mpcスケールの金属汚染領域ができることがわかった(Oku & Nagamine, submitted)。 今後はより大きいボックスサイズのシミュレーションを実行し、CROCODILEデータセットを拡充するとともに、将来観測による検証を見据えた詳細な解析を行う予定である。また、他のシミュレーションと比較してフィードバックモデルの違いが銀河および銀河間空間に与える影響について吟味していく。
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