2023 Fiscal Year Annual Research Report
Demonstration of quantum state conversion between photon polarization and electron spin states by manipulation of a single photo-excited electron spin
Project/Area Number |
22KJ2076
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 源希 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 量子ドット / スピン / 光子 / 量子インターフェース / 非ドープ型量子井戸構造 / スピン読出 / 超格子構造 / 量子ビット |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主な成果として、短周期超格子中のGaAsへのSiドーピング(SPSLドーピング)を活用したGaAs量子井戸基板による量子ドット素子への光照射の影響についてより詳細に評価を行った。特に長時間の光照射直後に量子ドット電極によるピンチオフ電圧が大きく減衰することが確認された。光照射直後と減衰後のピンチオフ電圧は光照射量に対して一定に保たれたが光照射下での量子ドットの精密な制御は困難であると予想され、現状では非ドープ型基板がより優れた特性を示している。その他、希釈冷凍機のマグネット取り付けの改善や光学系の構築、ランプ電圧を活用したエネルギー選択スピン読出(ランプ読出)についてパラメータ最適化のための数値計算などを行った。 研究期間全体の総括としては前述のSPSLドーピングの有用性の検証の他、①非ドープ型量子ドットの開発、②光照射に対して安定した量子ドットの実現に向けた新たな素子構造と実験手法の提案を行った。①に関しては光安定性の向上のためにドーパントを排除した非ドープ型量子ドットを作製し二電子スピン相関検出と光励起電子検出を実現した。一方、基板積層構造界面での意図しない電荷の蓄積が光安定性を低下させており改善が必要なことが分かった。また、非ドープ型構造を活かした面内PN接合素子を実現し、スピンから光子への逆変換の可能性を示した。②に関しては、非ドープ型素子の改善として意図しない電荷の蓄積を防ぐバックゲート型構造を提案した。また、①の結果から実験手法の改良も重要であると考え、量子ドット準位の変動に対して安定でキャリブレーションも容易なランプ読出を提案した。以上の結果より、非ドープ型構造の有用性の実証および素子構造や実験手法の改良に取り組み、光励起単一電子スピン操作の実現に向けて具体的な指針を立てることができた。
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