2022 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
21J21327
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
出口 航 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | 政治資金 / 政党助成 / 政治的代表 / 政党規律 / 量的テキスト分析 / 議員行動 / 日本政治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、政治資金制度と政党助成法の組み合わせが、政策に誰の利益が代表するよう促すかを理論的・実証的に検討することである。研究課題は4つから構成され、(1)政治資金制度・政党助成制度の効果、(2)政党・派閥内の資金配分、(3)立法過程での議員行動、(4)政治資金に対する有権者の反応を検討する。 2022年度には、課題(1)~(3)ついて分析をすすめた。第一に、制度の効果・定着を検討するため、異なる時期・制度下での国会議員の収入を分析した。分析の結果、90年代の政治改革から比べると、議員の収入額は減少傾向にあることが明らかになった。他方、競争環境・所属政党・議員の属性によって収入額には違いがあり、制度以外の要因も検討する必要があることがわかった。 第二に、党執行部からの資源配分と政党規律の関係を検討するために、国会議員の収入内訳を分析した。国際比較データと独自のデータセットを用いることで、議員がどのような主体から影響を受けうるのかを分析した。分析の結果、日本の場合は議員の収入源が政党に一本化しておらず、収入構造が未だに多様であることが明らかになった。この分析結果を、国際学会と国内学会で1回づつ口頭報告を実施した。 第三に、議会行動と利益代表の関係を検討するために、常任委員会の議会発言データを収集・分析した。具体的には、専門性が高い議員ほど、団体や企業から献金を受ける傾向にあるという仮説を検討するために、量的テキスト分析を議員の発言に適用した。この分析結果は、翌年度に開催される日本政治学会総会・研究大会において口頭報告を行うことが決定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は、上述の課題(1)~(3)についての検討を進めた。課題(1)と課題(2)の分析については、現在査読誌への投稿を済ませているため、早期に出版できるように修正を進めている。課題(3)の分析についても予備的検討を済ませており、翌年度の口頭報告後に速やかに投稿する準備が整っている。課題(4)については、翌年度に選挙支出と得票の関係を分析することを予定している。必要なデータの所在については把握を済ませており、速やかに研究を開始できる。 以上のように、いずれの研究課題についても一定の進捗がみられるため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は、課題(3)の成果報告、課題(4)の分析、知見の統合を行う。 課題(3)の成果報告については、「8.現在までの進捗状況」に記載の通り、2022年度中に基礎的なデータ収集および分析が概ね完了している。2023年度では、議員が発した特徴的な発言内容と誰からの献金を受けているかの関係について分析を進める。献金記録のデータについては概ね構築済みであるため、迅速に分析が完了するものと見込んでいる。 課題(4)については、議員がどのように政治資金を支出しているのか詳細なデータを集める。議員の属性や得票などのデータはすでに所有しているため、支出データの構築が終わり次第分析を開始できる。当年度中に学術雑誌に査読付き論文として出版できるよう準備を進める。 最後に、これまでの分析結果を整理して一貫した知見を提示する。参加・組織化、利益集約、利益表出などの各過程で、政治資金や制度がどのような機能を持ち、政治代表にどのように影響するのかについて知見を統合する。
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Research Products
(2 results)