2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22KJ2079
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
出口 航 大阪大学, 法学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2025-03-31
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Keywords | 政治資金 / 政党助成 / 政治代表 / 政党政治 / 日本政治 / 議員行動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、政治資金制度および政党助成法の組み合わせが、政策に誰の利益が代表するよう促すかを定量的に実証することであった。2023年度の研究実績は、主に次の3点である。 第一に、諸制度と政治資金の関係を明らかにするため、国会議員の収入総額を分析した。その結果として、小選挙区比例代表並立制が導入された後、国会議員の収入額は減少傾向にあることが明らかとなった。ただし2017年においても選出された選挙制度と収入額には相関がみられ、議員や政党が制度に応じて資金調達・配分を変える可能性がうかがわれる。この分析結果は『公共政策研究』23巻に掲載された。 第二に、議員がどのような利益を代表しているのかを検討するために、議員の発言から専門性を測定することを試みた。委員会発言をデータ化・分析した結果、頻出する単語群(固有表現)が委員会や発言者の属性ごとに異なることが明らかになった。この結果は、日韓次世代学術フォーラム国際学術大会にて口頭で報告した。 第三に、議員の収入構造がどのように政党の一体性に作用するかを検討するため、収入内訳を分析した。国際的な候補者サーベイデータを二次利用した分析からは、日本の国会議員は支出・資金調達の両面でやや特異な特徴を持つことが明らかになった。また、新たに作成した収入内訳データの分析からは、党執行部は必ずしも懲罰的な資金配分を実施していない点などを確認した。この分析については、翌年度の日本選挙学会で口頭報告を予定している。 最後に、理論的枠組みや政治資金制度の歴史的過程を検討することを通じて、これまでの研究成果を取りまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、これまでの研究の成果をとりまとめ、成果として公表できた。具体的には1本の査読付き論文掲載と1回の国際学会での口頭報告を行った。また翌年度以降、口頭報告をすることが決まっており、コメントを受けたうえで投稿をめざすことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、これまでの成果を査読誌に掲載することに向けて、より頑健な知見を得る方策をとる予定である。これまで作成してきた政治資金データをより拡充するとともに、分析手法の精緻化を図る。また議員発言の分析を発展させ、議員の専門性と献金の関係を計量的に分析する。
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Causes of Carryover |
当初計画では、地方選挙管理委員会に政治資金収支報告書の写しの交付を請求する予定であった。官報・公報やNPOが公開する報告書を使用することで、経費を節約することができた。翌年度は、これまでの成果公表やデータ拡充のために予算を執行する予定である。
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Research Products
(3 results)