2021 Fiscal Year Annual Research Report
がん患者の難治性疼痛治療に資する新規オピオイド使用法の確立
Project/Area Number |
21J21467
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹村 美穂 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2021-04-28 – 2024-03-31
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Keywords | がん疼痛 / オピオイド / バイオマーカー / 遺伝子多型 / 神経障害性疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、従来の治療法では対応できなかった難治性がん疼痛を緩和するためのオピオイド新規使用法を確立することを目的としている。令和3年度には、以下のように臨床試験を実施した。 1. バイオマーカーを用いたオピオイド個別化治療に向けたパイロット研究 緩和ケアチームを交えたディスカッションを重ね、研究実施体制を整備するとともに、プロトコールの最適化を進めた。具体的には、痛みの強度や種類に関する質問票を結果解析に差し支えない程度で省略および簡素化し、患者が回答しやすいように改善した。その後、臨床試験を開始した。対象患者は、疼痛緩和目的でオピオイドを開始したがん患者とし、質問票を用いてオピオイド開始前後での疼痛強度を記録するとともに、有害事象の評価、血液サンプルの採取ならびにSNP解析、診療記録を用いた患者背景因子の調査を実施した。 2. がん患者の神経障害性疼痛に対するタペンタドールの有効性検証 疼痛緩和目的でオピオイドを開始した、神経障害性疼痛を有するがん患者127名を対象として、治療開始前後での疼痛強度変化量をレトロスペクティブに調査した。その結果、タペンタドールは他のオピオイドよりも早期から有意に大きな鎮痛効果を示したことから、タペンタドールの神経障害性疼痛に対する効果が示唆された。ただし、神経障害性疼痛以外の痛みが本結果に影響を及ぼしている可能性があるため、現在は神経障害性疼痛に特有の評価系を用いた臨床試験を実施している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1. バイオマーカーを用いたオピオイド個別化治療に向けたパイロット研究 プロトコールの最適化を完了し、臨床試験を開始できた。さらに、痛みの強度や種類に関する質問票での調査や血液サンプルを用いたSNP解析などは、滞りなく実施できることを確認できた。 2. がん患者の神経障害性疼痛に対するタペンタドールの有効性検証 令和3年度には後方視的研究の成果を雑誌論文として発表できた。また、本成果の妥当性を検証するための臨床試験を開始できた。
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Strategy for Future Research Activity |
対象患者数を増やし、解析に必要なデータを十分に収集することが重要であると考えている。患者の状態悪化に伴い採血できなかった症例が数例あったため、できる限り治療初期の段階から介入し、血液サンプルを採取できるように研究実施体制を改善している。
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