2022 Fiscal Year Annual Research Report
現代制御と動物規範制御のハイブリッド理論の創成:手応えに基づくアプローチ
Project/Area Number |
22J00076
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鈴木 朱羅 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 動物規範制御 / 自律分散システム / センサフィードバック / 非線形制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,現代制御の汎用性と動物規範制御の適応性を兼ね備えたハイブリッドな制御理論の創成を目指す.そして,目的の達成のため,手応え制御を足がかりとしたアプローチを展開する.手応え制御は,多様な動物の運動を再現可能な動物規範制御の一手法である.これまで本手法の適用対象は動物規範ロボットに限定されていたが,本手法を任意の構造に適用可能な制御手法へと拡張することで目的の達成を試みる. 初年度は,同一の制御アルゴリズムによる多様な身体構造の移動制御の実現を軸として研究を推進した.具体的な成果を以下に示す. (1)手応え制御の非生物構造への実装 現代制御と動物規範制御をリンクさせるためには,その双方の制御対象となる構造から考察を進めていくことが肝要となると考えた.そこで,三叉ヘビと呼ばれる構造に着目した.三叉ヘビとは,中央のベースプレートから3つの足が放射状に延びた構造である.その推進原理は非自明であるものの,先行研究によって理論的に明らかになっている.当該構造に手応え制御を実装したところ,自発的な並進運動および回転運動の生成が確認された.これは,手応え制御が動物の運動と同様に三叉ヘビの運動も生成可能であることを示し,三叉ヘビが現代制御と動物規範制御の双方から議論可能な構造であることを示している. (2)身体構造によらない四足歩行のための手応え制御則の提案 四足動物は多様な形態を有し,その形態に応じて四肢と他の身体部位(頭部,胴体部,尾部)の運動を巧みに協調させることで優れた運動能力を実現している.しかし,その一方で,その運動制御系には多くの共通点が存在することが確認されている.そこで,同一制御による身体構造に応じた運動生成が可能な制御則を提案し,構成論的に汎動物種運動制御の考察を試みた.現段階では,シミュレーション実験による身体構造に応じた運動再現に成功した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,動物規範制御の制御対象の拡幅化において実りある成果を得ることができた.特に,三叉ヘビという研究対象を発見できたことは,制御理論の視座から動物規範制御を議論する上で大きく貢献することが期待される.身体構造によらない四足歩行のための手応え制御則の提案も含め,これらの成果は,査読付国際学会に3件発表済みであり,進捗は順調であると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究方針としては,手応え制御を実装した三叉ヘビの移動運動の理論解析と手応え制御を実装したモジュラロボットの開発を行う.三叉ヘビの手応え制御による制御入力が,制御理論の視座からどのように解釈できるか明らかにすることで手応え制御はなんたるかを明らかにしていく.そして,任意の構造への手応え制御の実装を見据え,組み合わせによって多様な身体構造を実現可能なモジュラロボットの開発および実機実験を試みる.
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Research Products
(9 results)