2023 Fiscal Year Annual Research Report
2Dパターン形成と3D形態形成をつなぐ「接着と引っ張り」による形態形成
Project/Area Number |
22KJ2121
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
松田 佳祐 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 外骨格生物 / カブトムシ / クワガタムシ / 脱皮 / 形態形成 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年までの研究により、蛹の角が成虫の角に変形する際に寄与している因子(先端~腹側の接着、細胞シートの不均一な収縮、体積の減少)を生物実験・観察により同定することと、それを反映させたコンピュータシミュレーションを作成することができた。それらの結果は、プレプリントとして昨年度、発表した。 今年度は、論文の査読の対応をしながら、シミュレーション結果の類似性の定量的評価、シミュレータの改良を主に行った。まず、シミュレーション結果の評価に関しては、表面積、内腔体積、断面の形状を近位部/遠位部で別々に評価することで、シミュレーションによりできた形状が成虫に似ていることを客観的に示した。同様の方法で、パラメータ変化時の形態への影響を定量的に評価することで、各因子が形状決定にどのように・どの程度影響するのかも明らかにできた。 また、シミュレーションの改良に関しては、元の数式中の体積減少を反映した項と平滑化を表現した項を、エネルギー計算の中に入れることで、単純なエネルギー最小化計算でも、同様に成虫角形状を再現できることを示した。これにより、成虫様の角を再現できることだけでなく、特定のエネルギーを考えた時に成虫角形状が安定な状態であることも分かった。これらの評価方法や計算の改良は、本研究を他の生物に適用する際に役立つと考えられる。 研究期間全体では、蛹の角が成虫の角になるremodelingにおいて、上皮シートが蛹のクチクラと先端~腹側にかけて接着していること、上皮細胞シートが不均一な収縮を起こすことを、観察とRNAi実験により明らかにした。さらに、これらの要素を考慮したコンピュータシミュレーションでremodelingを再現できることを示し、各要素が形態に与える影響を評価した。同様の計算でオオクワガタの大顎のremodelingも再現できることから、ある程度メカニズムに普遍性があることが分かった。
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