2023 Fiscal Year Annual Research Report
高強度レーザ伝播に作用する屈折率変動機構解明と高強度レーザ加工への展開
Project/Area Number |
22KJ2127
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
西端 樹 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 超短パルスレーザ / 非線形光学 / 集光特性 / レーザ加工 / レーザピーニング |
Outline of Annual Research Achievements |
「高強度レーザ伝播に作用する屈折率変動機構解明と高強度レーザ加工への展開」では、大気の光カー効果や電離などの非線形光学現象を考慮したレーザ集光特性を可視化し、高強度レーザ加工の一つであるレーザ衝撃加工の高度化を目的とした。mJ程度のパルスエネルギーを持つフェムト秒パルスレーザやピコ秒パルスレーザでは、集光点近傍で大気の非線形光学現象の影響が顕著であり、レーザ集光特性の変化が課題となっている。 レーザ集光特性を実験的に可視化するために、大気中で金属にレーザを線形焦点位置近傍で照射し、レーザ照射領域推移とアブレーション領域推移を取得した。これらよりレーザ集光特性のエネルギー依存性、パルス幅依存性を網羅的に調査した。次に、大気の非線形光学現象を考慮したレーザ伝搬シミュレーションを構築し、実験結果との定量的な一致を確認した。レーザ加工のような開口数の大きな集光条件では、光カー効果やラマンカー効果の寄与は無視でき、線形焦点位置よりも上流側での酸素分子の電離が支配的であることを確認した。レーザ伝搬を記述する非線形シュレディンガー方程式を用いて、回折、光カー効果、プラズマ散乱の項を比較し、非線形なレーザ集光特性変化が生じるレーザ強度の閾値や線形焦点位置からの距離の推定法を提案した。これにより、長時間かかるレーザ伝搬シミュレーションを行うことなく、パルスエネルギー、パルス幅、開口数に応じたレーザ集光特性を簡易的に推定可能となった。また、大気の一価の電離の飽和により、ある開口数よりも大きな集光条件では、大気プラズマによる散乱を抑制し、大気の電離閾値を一桁上回るレーザ強度まで集光可能となることを示した。さらに、このようなレーザ集光特性変化を制御したレーザ衝撃加工を実施し、照射時のフルエンスと照射面積に応じた加工品質の変化を明らかにし、加工技術の高度化に貢献した。
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Research Products
(3 results)