2022 Fiscal Year Annual Research Report
Melting and Solidification Behavior of Ti/Ni Composite Powder Bed for Multi-Functional Coatings
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22J10955
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
王 雷 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | TiNiコーティング / 形状記憶合金 / 電子ビーム溶融 / その場合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年には電子ビーム溶融を用いてCP-Ti基材表面にTiNiコーティングを作製し、コーティングの微細構造の観察と物性分析実験を行った。 具体的には、CP-Ti基板の表面にNi層をメッキし、そのNi層をシングルビードおよびマルチビードで、様々なパラメータで電子ビームを走査してTiとNiを合金化してTi-Ni合金コーティングを形成した。そして、コーティングの表面および断面を電子顕微鏡で観察し、エネルギー分散X線分光(EDS)とX線回折(XRD)を用いて成分を分析した。コーティングの断面にてビッカース硬さ試験を行い、DSCを用いて相変態温度の試験を行った。電子顕微鏡で試料の評価を行った結果、電子ビーム溶融で得られたTi-Ni合金コーティングの元素組成は、適切なパラメータのもとでTi:Ni=50:50(at%)に近く、XRD測定ではTiNi相が支配的な相構成が確認された。DSC試験の結果から、TiNi相を含むコーティングの加熱過程でのオーステナイト相への変態温度と冷却過程でのマルテンサイト相への変態温度が確認された。 以上の実験結果は、TiとNiの純金属を原料として、電子ビーム溶融を用いてTi-Ni合金コーティングを基板表面にその場で合成できること、適切なパラメータ条件では、コーティングに相変態能を有するTiNi相が生成されることを示している。 この方法は、従来の溶射法に比べ、基材との結合力が強く、より均質なコーティングが得られ、TiNi形状記憶合金を直接原料として使用する必要がないため、材料コストの大幅な削減が可能と期待される。 但し、今年度実施した基材をTiとする方法の適用範囲は限定されている。今後、他の金属基板の表面にTi-Ni合金をコーティングする方法も検討していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の主な目的は、電子ビーム溶解技術を使って材料表面にTiNiコーティングを作製することです。2022年度では、CP-Ti基板の表面にNi層をメッキし、そのNi層をシングルビードおよびマルチビードで、様々なパラメータで電子ビームを走査してTiとNiを合金化してTi-Ni合金コーティングを形成した。 当初のコンセプトは、基材表面に粉末を敷き詰め、電子ビーム溶融で付着・形成させるというものだったが、電子ビームを照射すると粉末が帯電し、飛散するという問題があった。 しかし、様々な電子ビームパラメーターを試した結果、電子ビーム照射により粉体が飛散する問題が解決できなかった。 そこで、この方法は途中で断念し、Ti基板と同時にNi層を溶かし、純Ti基板にNiをメッキした後にその場でTiNiコーティングを合成するという新しい解決策を考案した。 その後、新しい方法の実験を進め、適切なパラメータを見つけたことにより、Ti:Ni=50:50(at%)に近い組成で、TiNi相を発見したコーティングを得ることに成功した。 このように、この2022年度の研究は、おおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年には電子ビーム溶融を用いてCP-Ti基材表面にTiNiコーティングを作製し、TiNi相も形成されることを確認した。しかし、この作製方法では、基板材料がCP-Tiに限定されており、本課題の最終目標を達成するためには、作製方法を他の基板材料に拡張する必要がある。 そのため、2023年にステンレス基材の表面にTiNiコーティングを作製する実験に進む予定である。Niメッキ層で覆われたTi基材の実験とは異なり、ステンレス基材表面の実験に関わる条件はより複雑である。 そのため、新しい実験手法を開発し、より多くの影響因子を考慮し、最も影響のあるものを選択して研究する必要がある。 各要因がコーティングの微細構造と特性に及ぼす影響を分析し、それらの相関関係を明確にした後、ステンレス鋼基材上のTiNiコーティングの製造に最適な処理条件を導出することを目指す。
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Research Products
(3 results)