2023 Fiscal Year Annual Research Report
日本におけるムスリム女性の相互行為:マイクロアグレッションに着目したフレーム分析
Project/Area Number |
22KJ2141
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
保道 晴奈 大阪大学, 人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | スティグマ / 日常的相互行為 / ムスリム女性 / インターセクショナリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、インターセクショナルな状況にあると考えられる日本のムスリム女性らが、どのようにして日常的相互行為を成立させているのかを明らかにすることである。その中でもとりわけマイクロアグレッションに相当する日常的な暴力の経験や、またそうした状況の中で行われる相互行為に着目する。 2023年度は調査として日本ルーツのムスリム第2世代の対象としインタビューを行った。インタビューの分析を行った結果、日本においてムスリムとして育った彼らは成長の過程で自然とムスリムとしてのアイデンティティが「身につく」ようになる場合とそうでない場合があることが明らかになった。後者の場合に対してさらなる分析を行い、彼らがムスリムとしてのアイデンティティを自ら「身につける」よう自発的に努力を行うようになる場合があることが明らかになった。 さらに、スティグマを持つ人が日常生活において相互行為実践を繰り返すことで、パッシング・カヴァリングを含めた相互行為の技法を習得していくことは、熟練した演技者として自立していくことであるというよりは、被差別者として脆弱性(ヴァルネラビリティ)を持つ彼らが、他者との関係を構築・維持することで、それをスティグマにより安定した相互行為ができない場合のセーフティネットのようなものとしているのではないかと言うことが示唆された。 本研究では、日本のムスリム女性らが女性であることとムスリムであることの両面かつその両者が結びつく形の多様な状況を日常的に経験しており、その中に彼女らを差別・抑圧するような状況がありうること、そうした状況において日常的相互行為を成り立たせるために、必要に応じて彼女らへの差別的処遇に何らかの対応を行なっていることが明らかになった。
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