2023 Fiscal Year Annual Research Report
HLAを発現させた感染細胞を用いた病原体認識T細胞と抗原の迅速同定法確立の試み
Project/Area Number |
22KJ2162
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
石塚 茂宜 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | エピトープ / T細胞 / ワクチン / アジュバント |
Outline of Annual Research Achievements |
感染細胞が実際に提示する、病原体のエピトープを特定する方法の構築のために、本研究を行った。これまでに、COVID-19罹患者1名分のHLAクラスIを個別に発現したVeroE6/TMPRSS2細胞を作製した。しかし、HLAの全アリルを導入したVero細胞の樹立までは至らず、本課題は完遂できなかった。一方で、エピトープ同定ツールとして、現有のSタンパク質のマトリックスプールに加えて、M, Nタンパク質に対応したものも新規に作製し、より幅広いタンパク質を対象にエピトープを同定することが可能となった。今回提唱した方法論は、従来はそこまで重視されてこなかった、T細胞性免疫の誘導にも目を向けたワクチン抗原設計の新規の方法となりうる。本方法の確立に向けての、さらなる研究が待たれる。 また、本研究を遂行する過程において、ウイルスの排除に寄与するTh1を誘導することが報告されている自然免疫受容体Mincleを介して、アジュバント作用を示す化合物PGL-III (フェノール糖脂質-III) を抗酸菌から見出した。構造学的な解析により、この化合物はMincleを重合化するのに適した構造を有しており、優れた免疫細胞活性化能を有するアジュバントとして機能すると考えられる。また、本成果は今後のワクチンアジュバントを設計する上でのヒントとなることが期待される。この成果は、申請者が筆頭著者となり、論文として発表した。
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