2022 Fiscal Year Annual Research Report
新規腎線維化制御因子を標的とした核酸医薬による慢性腎臓病発症予防法の開発
Project/Area Number |
22J13380
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 彩葉 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性腎臓病 / 転写因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
OASISの腎障害早期の役割を解明するべく、Streptozocin(STZ)投与による糖尿病性腎症モデルマウスを作製した。野生型マウスにSTZを投与後、0週から8週までの各タイムポイントにおいて、腎機能、腎障害、および腎組織におけるOASISの発現を評価し、糖尿病性腎障害早期における基盤データを取得した。腎機能、腎障害、OASISの発現はそれぞれ血清クレアチニン測定、尿中アルブミン測定、腎切片を用いた免疫染色により評価した。今後は、筋線維芽細胞特異的OASIS欠損マウスにSTZを投与し、早期の腎障害に与える影響を評価する。また、腎線維化の抑制を目指すにあたり、その原因となる過剰な炎症に着目した検討も行っている。ミエロイド細胞に発現する新たな線維化制御因子に着目し、細胞特異的欠損マウスに一側尿管結紮による腎線維化を惹起し解析を行っている。 転写因子OASISを標的とした腎線維化治療薬については、アンチセンス核酸によるアプローチを検討している。現在、培養細胞を用いてアンチセンス核酸のスクリーニング系構築のための予備検討を実施している。一方、OASISを標的とする上で、筋線維芽細胞以外の細胞における機能も解明する必要があることから、糸球体ろ過を担うポドサイトにおけるOASISの働きについて検討した。その結果、ポドサイトにおいてOASISの下流で発現変動するタンパク質が細胞外へと分泌され、尿細管障害に対し保護的に働くことを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
糖尿病性腎症モデルマウスの障害早期から慢性期における基盤データを取得できた。また、炎症性細胞に着目した腎線維化の新たなメカニズム解明にも着手した。OASISを標的とするアンチセンス核酸については、筋線維芽細胞へのトランスフェクション条件を決定する予備検討段階である。一方で、筋線維芽細胞以外の腎構成細胞である糸球体ポドサイトにおけるOASISシグナルが尿細管傷害に関与することが明らかとなり、OASISの治療標的としての可能性を補強するデータを得た。
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Strategy for Future Research Activity |
OASISを標的とした治療戦略の開発を目指し、障害早期におけるOASISの役割について細胞特異的ノックアウトマウスを用いて検討する。また、筋線維芽細胞以外の細胞におけるOASISの機能解明にも引き続き取り組む。他方、腎線維化制御法の開発を目的に、筋線維芽細胞のOASISに加え炎症細胞の関与に関する検討も進め、腎線維化形成機構の理解を深める。アンチセンス核酸については、トランスフェクション条件決定後にin vitroスクリーニングを行う。アンチセンス核酸によるアプローチが困難である場合には、化合物の利用についても検討する。
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