2022 Fiscal Year Annual Research Report
有機デバイスの高密度実装に向けた柔軟微細配線の研究開発
Project/Area Number |
22J13899
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
川端 玲 大阪大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
|
Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2024-03-31
|
Keywords | フレキシブルエレクトロニクス / フレキブルセンサ / ストレッチャブル配線 / 印刷配線板 / 有機トランジスタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、柔軟配線技術の構築に立脚し、柔軟性と高集積密度を有する有機デバイスの開発を目指す。柔軟配線は、導電性に優れた金属ナノ-マイクロ材料の制御に基づき開発を行う。開発した柔軟配線を用いて、有機トランジスタなどの柔らかい素子を実装した有機信号処理回路や光センサ等の開発を行い、フレキシブルデバイスのデモンストレーションを行う。 2022年度は、伸縮配線を開発しフレキシブルな有機増幅回路を構築した。伸縮配線は、Agマイクロ粒子を含む導電性ペーストに、Agナノワイヤを配合することで作製した。この配線は、Agナノワイヤの配合によって導電率が3.6倍向上し、75%ひずみの繰り返し伸縮に対する耐久性を得た。有機回路の開発では、有機トランジスタのデバイス構造開発および回路設計を行った。微小信号のS/N比を向上させるため、増幅回路とインピーダンス変換回路を統合した有機増幅回路を作製した。この有機回路は、電圧出力型センサに接続した場合、出力信号のS/N比を1.5倍向上させた。さらに、伸縮配線を用いて有機回路を実装することで、伸縮可能な電圧増幅器を作製した。この電圧増幅器は、伸長時にも安定した増幅特性を示し、75%のひずみ下において200 Hz以上の遮断周波数を有していた。これらの開発成果は、生体や構造物などの任意表面で動作するフレキシブルデバイスの基盤技術となることが期待される。以上の成果に関して、国際学術論文誌1件および会議発表4件(国際学会2件含む)の対外発表を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画に沿って、柔軟配線技術および有機デバイスの開発を行った。柔軟配線は、Agナノ材料の配合制御によって柔軟性と耐久性が向上した。柔軟配線の機械的および電気的特性を総合的に取得し、配線の微細組織と対応させることで、特性向上の要因が明らかになった。さらに、この配線はポリマー基板への印刷低温形成が可能であるため、有機デバイスの伸縮配線板としても利用できる。並行して、次年度に計画する柔軟な有機デバイスの実証に向け、有機回路の設計および開発を行った。有機素子(有機トランジスタ等)ならびにそれらを用いて作製した回路の基本特性を明らかにすることで、有機デバイスの構造や回路の設計が可能となった。有機デバイスの一部は、開発した伸縮配線板に実装され、伸縮可能な電圧増幅器としての機能が実証された。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、前年度までに開発した柔軟配線および有機回路に基づき、センサ等のフレキシブルデバイスを構築する。柔軟配線は、材料や形成プロセスなどの最適化を行った上でデバイスへ実装する。前年度に引き続き、有機トランジスタなどの有機素子の研究開発を進め、性能評価および回路設計を行う。配線や有機素子は、デバイスの仕様に適合するよう新たにパターン設計を行い、蒸着や塗布等のプロセスを活用して作製を行う。フレキシブルデバイス開発では、光や電位などの物理情報を取得する柔らかいセンサの実証を目指す。有機回路や光センサ等の素子をアレイ状に配列させたイメージングデバイスを構築するなど、デモンストレーションを予定している。
|
Research Products
(5 results)