2023 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能画像およびゲノム解析による診断閾下自閉スペクトラム症の診断指標の確立
Project/Area Number |
22KJ2176
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
塩田 友果 大阪大学, 連合小児発達学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | ASD / HFA / NGS / パネル解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は、自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder: ASD)の遺伝的変異とASDに関連する遺伝的変異と言語発達、社会的反応性、知能指数などの特性との関係を調べるために、ターゲットパネルによる次世代シーケンシング技術(Next Generation Sequencing: NGS)を取り入れたASD児及び定型発達児のゲノム解析を行なった。日本人ASD(主に高機能自閉症(high-functioning autism: HFA))児32名と定型発達(Typically Development)児36名を対象とし、NGSを用いてこれまでに報告されているASD関連遺伝子を探索し、自閉的特性と知能指数との関連を検討した。 その結果、遺伝子型―表現型解析において、SCN1AとSCN2Aを含む40のバリアントがASD/TDの表現型と関連していた(χ2 = 18.8―5.80, p = 1.45×10-5―0.016)。特にSCN1Aの10バリアントは、ASDの頻度と強い関連を示した(FDRs < 0.05 (q = 2.8×10-3―0.02)) 。 本結果は、これらのバリアントがHFAの遺伝的構造に関係することを示唆し、Frontiers in Geneticsに受理された(Association of Genetic Variants with Autism Spectrum Disorder in Japanese Children Revealed by Targeted Sequencing, doi:10.3389/fgene.2024.1352480)。乳幼児の唾液中白血球・頬粘膜細胞などの微量検体からゲノムDNAを抽出し、塩基配列を決定するという実験技術の困難さを克服し、今後より大きなコホートでHFAの遺伝的構造を解明するための基盤を確立した。
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