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2023 Fiscal Year Research-status Report

I型ミオシンを根源とする細胞のキラリティによる器官の左右非対称性形成機構の解明

Research Project

Project/Area Number 22KJ2192
Allocation TypeMulti-year Fund
Research InstitutionOsaka University

Principal Investigator

山口 明日香  大阪大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)

Project Period (FY) 2023-03-08 – 2025-03-31
Keywordsショウジョウバエ / 左右非対称性 / キラリティ / ミオシン / 細胞骨格
Outline of Annual Research Achievements

2022年度では、後腸の捻転方向に関して、MyoID(Myo31DF)による野生型形態(右手型)、およびMyoIC(Myo61F)による鏡像型形態(左手型)を決定する、ミオシンの構造上の領域を同定することを目的とし、MyoICのアクチン結合領域であるループ構造が後腸の鏡像型形態の決定に十分な領域であることが示唆された。2023年度では、このループ構造によるF-アクチン動態の変化を、ショウジョウバエ血球細胞を用いて解析した。後腸上皮細胞のF-アクチン動態を経時的に観察することは非常で困難であるが、幼虫から採取し体外培養できる血球細胞は、明瞭なF-アクチンのレトログレードフローを示し、F-アクチンによる細胞キラリティ形成の解析に優れている。先行研究から、オプティカルフロー解析を用いることで、野生型において、レトログレードフローに時計回り(右手型)の指向性があること、さらにMyoID突然変異体及びMyoIC過剰発現体で反時計回り(左手型)の指向性があることが明らかになった。以上より、MyoIDとMyoICは、後腸におけるのと同様に、血球細胞のF-アクチン動態のキラリティを制御することが示された。そこで、MyoIDのループ構造をMyoICのものに入れ替えたキメラミオシンを、血球細胞で過剰発現させることで、MyoICのループ構造が血球細胞の左手型のキラリティ形成に十分な領域であるかを調べた。結果、このキメラミオシンは、MyoIC過剰発現体と同様に、F-アクチン回転を左手型にすることが明らかになった。以上の結果より、MyoICのループ構造は、後腸および血球細胞の左手型キラリティ形成に十分であることが示唆された。本研究から、I型ミオシンによるループ構造を介したF-アクチンのキラルな動態制御は、器官および細胞の各階層におけるキラリティ形成において重要であることが示唆された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2022年度では、MyoICのアクチン結合領域であるループ構造が後腸の鏡像型形態の決定に十分な領域であることが示唆された。しかしMyoIDのループ構造は、後腸の野生型形態の決定に十分ではないことが分かった。2023年度では、ループ構造を含む2つのサブドメインU50K、L50Kに着目し、MyoIDとMyoICの間でサブドメインを交換させ、後腸のキラリティ決定能も入れ替わるか検証を行った。結果、MyoIDのU50K、L50Kの両方で、後腸野生型形態決定に十分であることが示唆された。以上の結果より、MyoIC、MyoIDそれぞれの後腸キラリティ決定能に十分な領域を同定することに成功した。さらに、これら同定した領域が、細胞内F-アクチンのキラルな動態の制御にも重要であるかを検証した。2023年度では、MyoICのループ構造が、後腸だけでなく細胞内F-アクチン動態におけるMyoICの鏡像型形態(左手型)決定機能に十分であることを明らかにした。以上から、MyoICのループ構造を根源としたF-アクチンのキラルな動態を根源とした、器官および細胞の階層縦断的なキラリティ決定機構が示唆された。MyoIDのサブドメインについては、未検証していないので今後行っていきたい。以上より当初の計画通りの結果が得られたことから、全体としておおむね順調に進捗した。

Strategy for Future Research Activity

今回同定した構造領域が、MyoID、MyoICのそれぞれの野生型形態、鏡像型形態決定機能に十分であることを、ショウジョウバエの左右非対称性を示す他器官でも確かめる予定である。MyoID、MyoICは、後腸だけでなくオスの生殖器、精巣の左右非対称性を野生型、鏡像型形態に決定することが知られている。そこで、MyoID、MyoICの間で構造領域を交換させたキメラミオシンを、生殖器および精巣で発現させ、後腸と同様にキラリティ決定機能を調べたい。

Remarks

令和5(2023)年度大阪大学大学院理学研究科優秀研究賞 受賞

  • Research Products

    (7 results)

All 2024 2023 Other

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (4 results) Remarks (2 results)

  • [Journal Article] Left-right Myosin-Is, Myosin1C, and Myosin1D exhibit distinct single molecule behaviors on the plasma membrane of Drosophila macrophages2024

    • Author(s)
      Utsunomiya Sosuke、Takebayashi Kazutoshi、Yamaguchi Asuka、Sasamura Takeshi、Inaki Mikiko、Ueda Masahiro、Matsuno Kenji
    • Journal Title

      Genes to Cells

      Volume: 29 Pages: 380~396

    • DOI

      10.1111/gtc.13110

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Identification of protein domains that bear information dictating the left-right asymmetry of Drosophila embryonic gut in type I myosin proteins2023

    • Author(s)
      Asuka Yamaguchi, Takeshi Sasamura, Kohei Yoshimura, Chinami Maeda, Takeshi Haraguchi, Kohji Ito, Kenji Matsuno
    • Organizer
      56回日本発生生物学会
  • [Presentation] Causal association between myosin-induced chiral rotation of F-actin in vitro and left-right asymmetric organogenesis in vivo2023

    • Author(s)
      Yui Akano, Asuka Yamaguchi, Ginjiro Endo, Kohei Yoshimura, Takeshi Haraguchi, Mikiko Inaki, Kohji Ito, Kenji Matsuno
    • Organizer
      56回日本発生生物学会
  • [Presentation] ショウジョウバエI型ミオシンにおいて細胞から器官までの左右非対称性を決定するタンパク質モチーフの同定2023

    • Author(s)
      山口 明日香, 笹村 剛士, 吉村 孝平, 前田知那美, 原口武士, 伊藤 光二, 松野健治, ショウジョウバエI型ミオシンにおいて細胞から器官までの左右非対称性を決定するタンパク質モチーフの同定
    • Organizer
      第46回分子生物学会
  • [Presentation] ミオシンによるin vitro F-アクチン回転運動とin vivo細胞キラリティの関連に関する研究2023

    • Author(s)
      Yui Akano,Kohei Yoshimura,Sosuke Utsunomiya,Asuka Yamaguchi,Takeshi Haraguchi,Kohji Ito,Kenji Matsuno
    • Organizer
      第46回分子生物学会
  • [Remarks] 研究室ウェブサイト

    • URL

      https://www.bio.sci.osaka-u.ac.jp/bio_web/lab_page/matsuno/paper.html

  • [Remarks] 大阪大学ウェブサイト

    • URL

      https://www.sci.osaka-u.ac.jp/ja/info/13462/

URL: 

Published: 2024-12-25  

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