2022 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the neural basis of time-flow perception by the combination of fMRI and electrophysiology in awake monkeys
Project/Area Number |
22J20858
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田中 澪士 大阪大学, 生命機能研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 時間知覚 / 逆再生動画 / 運動予測 / 認知神経科学 / 認知心理学 / MRI |
Outline of Annual Research Achievements |
人間は、「時間は一方向に流れる」という信念を持っているが、この感覚を脳がどのように生み出しているのかについては先行研究がほとんどない。本研究では、自然動画を通常再生で呈示した場合と、逆再生で呈示した場合の覚醒サルの脳活動を比較することで、"時が流れる感覚"を生み出す神経基盤の解明を目指している。サルを用いることで、MRI計測およびニューロン活動計測の2手法で脳活動を記録できるため、対象の神経基盤について網羅的に解明することが可能となる。 本研究計画では初年度に、(1)完全非侵襲の覚醒サルfMRI計測のための独自の頭部固定手法の確立、(2)呈示する自然動画の選定、(3)MRI脳活動計測、(4)MRIデータの解析を予定していた。本年度終了時点で、1頭目のサルで(1)から(4)を完遂し、2頭目のサルで(1)から(3)の終盤まで遂行したことから、研究は概ね計画通りに進行できた。1頭目のサルのMRI実験では、上側頭溝と小脳の一部において、自然動画を順再生で呈示した場合と逆再生で呈示した場合で活動が変化することが示唆された。また、これらの脳活動の変化は、特に生物の動きに関する動画を視聴しているときに顕著だった。上側頭溝は、生物が自然な動き方をする順再生の動画に対してより強く活動を示していたことから、生物の動きは順逆を判別するための大きな手がかりの一つであると考えられる。また、予測誤差の計算に寄与していることが知られている小脳は、観察した動画中の物体が予測通りの方向に運動したかどうかを計算し、予測通りならば順再生、予測と異なれば逆再生であると判別しているのだと考えられる。 以上の結果の頑健性を検討するために、現在は、2頭目のサルのMRI計測を進めている。また、(1)で確立した完全非侵襲な覚醒サルfMRI計測手法については、現在論文を執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究計画では、第1年度に、完全非侵襲な覚醒サルfMRI計測の手法を確立し、この手法を用いてfMRI計測とデータ解析を行う予定だった。この計画の通り、1頭のサルについて、fMRIデータの取得および解析を完了できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
呈示する動画をさらに増やし、1頭目のサルでfMRIデータを追加計測する。また、2頭目のサルでも同様のfMRI実験を行うことで、得られた結果の頑健性を検討する。これらのfMRI計測実験によって、"時が流れる感覚"の生成に寄与している脳領域を同定し、それらの領域においてニューロン活動計測を行う。
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