2022 Fiscal Year Annual Research Report
Single-cell analysis of adaptive immune system cells in IBD patients
Project/Area Number |
22J21249
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒瀬 充 大阪大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2022-04-22 – 2025-03-31
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Keywords | 炎症性腸疾患 / クローン病 / 組織常在性メモリーT細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
炎症性腸疾患は腸管の慢性的な炎症を呈し、寛解と増悪を繰り返す疾患である。臨床的な症状と病理所見からクローン病と潰瘍性大腸炎に分類され、近年は本邦も含め世界中で増加傾向にある疾患である。 本研究では複数のシングルセル解析手法を用いて先行研究において発見したクローン病に特徴的な細胞障害性を持つCD4陽性組織常在性記憶T細胞集団の詳細な解析を行い、新たな治療ターゲットを発見することを目的としている。 今年度は炎症性腸疾患の腸管検体から単離した粘膜固有層単核球細胞を用いてフローサイトメトリーによってCD4陽性T細胞を分取した後に、その細胞を用いて単一細胞からRNAとオープンクロマチン領域の情報を解析するシングルセルMultiome及び、単一細胞からRNAと表面タンパクの情報の解析を行うCITE-seqを施行した。そして、これらの実験から得られたデータを複数の解析手法と組み合わせることによって転写因子X、Yが先行研究で発見した細胞障害性を持つCD4陽性組織常在性記憶T細胞の誘導に関与していることがわかった。 今後はこれらの転写因子が実際にクローン病の発症や再燃に関与しているかどうかを検索するため、これらの転写因子を腸管由来のCD4陽性T細胞に過剰発現やノックダウンすることでその細胞の機能がどう変化するかという解析を行なっていく予定である。また、T細胞におけるこれらの転写因子の発現と実際の臨床データ及び疾患活動性がどのように変化しているかを解析する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
炎症性腸疾患の腸管検体から単離したT細胞のシングルセルMultiomeとCITE-seqを施行しクローン病に細胞障害性を持つCD4陽性組織常在性記憶T細胞集団を誘導する転写因子を複数発見した。この結果を細胞を用いた実験などで確認する段階に進むことができているため本研究課題はおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は腸管由来のT細胞に発見した転写因子の過剰発現やノックダウンを行うことでその細胞の性質がどのように変化するかを確認する予定である。
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